2012年10月01日

悲観と楽観の分岐点~マーケット・カルテ10月号

経済研究部 シニアエコノミスト   上野 剛志

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9月の金融市場では思いのほか明るい材料が相次いだ。ECBによる国債買入策発表の後、中国政府が1兆元の投資を認可、これに独司法の新救済基金(ESM)への合憲判断が続き、FRBもQE3を発動した。市場ではリスク回避姿勢が一旦後退し、株高・ユーロ高となった。一方、リスク回避後退と追加緩和期待の綱引きにより、足元の長期金利には明確な方向感が出ておらず、円は日中関係の緊張等からやや円安に。

10月も世界的なリスク選好の流れが続くかどうかのカギは2つある。一つは欧州の政治だ。10月にスペイン問題とギリシャ支援見直しが山場を迎える。大きな混乱無く政治的な協調姿勢が示せるかがポイントとなる。もう一つのカギは実体経済の回復という追い風が出てくるかだ。とりわけ矢継ぎ早に政策を打ち出した中国経済に底打ちの兆しが見えてくるかが重要だ。これに加えて、日中関係の行方が日本の独自要因となる。さらなる緊迫化は円安、金利低下圧力となる。

今後もハードルは多く、一本調子とはいかないものの、時間軸を半年後まで伸ばすと欧州危機の緩和や中国経済の底入れが見込まれる。この結果、市場のリスク回避度が緩和し、半年後は現状比でやや円安ドル高、金利高になっているだろう。なお、ユーロについてはQE3に伴うドル安の受け皿として最近急騰しているが、欧州経済や危機対応の実態からすると楽観を先取りし過ぎている感があり、一旦調整局面を迎えるだろう。半年後の水準は現状比横ばい程度と予想する。




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上野 剛志 (うえの つよし)

研究・専門分野
金融、日本経済

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