コラム
2012年08月27日

コンビニは若者からシニアのものへ?~少子高齢化は「脅威」ではなく事業成長の「機会」にも

生活研究部 主任研究員   久我 尚子

文字サイズ

先日、若者の消費実態をレポートしたのだが 、その中で、若い男性のコンビニ利用が減っていることが印象的だった。コンビニは昔から、定価販売をあまり気にせず、それよりも深夜でも買い物ができる利便性を重視する若い男性が主要顧客という印象があった。しかし、若年男性はコンビニからディスカウントストアや量販専門店、インターネット通販など、より低価格を提供する店舗へ流れていたii 。今の若者は様々なところで消費をしない、節約志向が強いなどといわれているが、なるほどその通りであった。

若年男性が離れていったコンビニだが、コンビニ全体の売上高は近年上昇を続けているiii 。その利用者の実態を把握するためにコンビニ関連のデータを探してみた。コンビニ全体としてはデータが見当たらなかったが、売上高で最大シェア37%を占めるセブン-イレブンで興味深いデータをみつけた。

セブン-イレブンの来店客の構成は若年層から高年齢層へとうつっている(図1)。1999年では20歳代以下の割合が半数を超えていたが、2011年には3割にまで減っている(▲20%pt)。一方で50歳以上の高年齢層は倍増して3割に達し(+14%pt)、40歳代とあわせると半数近くにおよんでいる。周知の通り、日本では少子高齢化が進行しているが、この期間の20歳代以下の人口が総人口に占める割合の変化は▲7%pt、50歳以上は+6%ptである(図1下)。つまり、セブン-イレブンの来店客構成は、人口構成で見られる変化よりも大きく高年齢層へとシフトしている。なお、この間、セブン-イレブンの売上高は上昇し続けており、さらにここ1~2年は客単価も上がっているiv

最近、コンビニ各社で惣菜や生鮮食品、PB商品を充実させたり、宅配サービスを開始するなどして、高齢者や主婦などの取り込みがすすめられているのは知っていた。しかし、未婚化・晩婚化で独身者が増えていく中では、やはりコンビニの主要客は依然として20~30代の比較的若い層という印象があり、50歳代以上の利用がここまで多いとは思っていなかった。

なお、同様の傾向は業界二番手のローソンでもみられ、生鮮食品を強化した店舗では女性やシニア比率が高まり、客単価も上がっているv

コンビニ業界では少子高齢化の波や若年層のコンビニ離れを比較的早い段階でとらえ、事業転換を試みた結果が好業績にあらわれているということだろう。

少子高齢化の進行は、特に若年層を主要顧客としていた業界に深刻な影響を与える。しかし、今後増加していく高年齢層を新たに取り込んでいくと考えると、事業成長の大きな機会ととらえることができる。日本の人口動態の変化を脅威でなく機会として成長する企業が少しでも増え、低迷する日本経済が活性化することを期待したい。


セブン-イレブン来客数と日本の年代別人口構成の推移


 
 ii  総務省「全国消費実態調査」の平成11年と21年の30歳未満の単身世帯の購入先の比較より
 iii  一般社団法人日本フランチャイズチェーン協会「FC統計調査(年報)」より
 iv  株式会社セブン&アイホールディングス「コーポレートアウトライン2012」より
 v  株式会社ローソン「2011年度第二四半期決算説明会」より
83_ext_01_0.jpg

生活研究部   主任研究員

久我 尚子 (くが なおこ)

研究・専門分野
消費者行動、心理統計、保険・金融マーケティング

(2012年08月27日「研究員の眼」)

レポート

アクセスランキング

【コンビニは若者からシニアのものへ?~少子高齢化は「脅威」ではなく事業成長の「機会」にも】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。

コンビニは若者からシニアのものへ?~少子高齢化は「脅威」ではなく事業成長の「機会」にものレポート Topへ