2012年08月09日

景気ウォッチャー調査12年7月~現状判断DIは前月から上昇するも、先行き判断DIは前月から低下

押久保 直也

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■見出し

・現状判断DIは4ヶ月ぶりの上昇
・先行き判断DIは3ヶ月連続の低下

■introduction

8月8日に内閣府から発表された2012年7月の景気ウォッチャー調査によると、景気の現状に対する判断DIは44.2となり、前月の43.8を0.4ポイント上回り、4ヶ月ぶりの上昇となった。これは(1)「連日の猛暑を受け飲料類の売り上げが伸びたことで、軟調に推移していたコンビニエンスストアでの販売に回復の兆しが現れたこと」(2)「夏本番となり気温が上昇したことで、エアコンなどの夏物家電の需要が大きく伸びたこと」(3)「復興需要が建設業を中心に本格化したことにより企業の売上高、受注高が大きく伸びたこと」などが影響していると考えられる。
一方、景気の先行きに対する判断DIは44.9となり、前月の45.7を0.8ポイント下回り、3ヶ月連続の低下となった。これは(1)「エコカー補助金制度の終了により、堅調であった自動車販売台数の大幅な減少が想定されること」(2)「電気料金の値上げや消費増税により家計所得の減少が見込まれ、個人消費への先行き懸念が強まっていること」(3)「円高や今夏の電力不足等により、各産業とも求人意欲が低いこと」などが影響していると思われる。
2012年7月の調査では現状判断DI、先行き判断DI共に6月調査に続き50を下回った。東日本大震災からの復興需要が引き続き景気を下支えすることが期待されるものの、今夏の電力不足問題、消費税引き上げによるマインド低下への懸念、欧州問題の不透明感と主要国経済の減速に伴う円高基調、エコカー補助金終了後の反動減の見通しなどが景気に悪影響を与えているといえる。

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押久保 直也 (おしくぼ なおや)

研究・専門分野
日本経済、財政

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