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人事担当の男性A氏「最近育児休業の取得が増えてきたのはうれしいんだけど、制度利用者が周囲に配慮しないケースだとか、復帰しないケースがポツポツ出てきてねぇ。ほんの一部でも、そういうケースが出るとやっぱり困っちゃうんだよね。」
筆者「管理職が本人にビシッと言えばいいじゃない。」
人事担当の男性A氏「『職場復帰は大丈夫だよね?』とか、『周囲の人にもうちょっと気を使ったほうがいいよ』とか管理職がいおうものなら、『権利なのに利用を快諾してくれなかった』とか思われるんじゃないかって心配で、ビシッと言うのもなかなか難しいのよ。」
筆者「・・・・・」
其の一:育児休業を取得予定であることは早目に管理職に伝える
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其の二:取得申請前に、出産(男性の場合は配偶者の出産)から職場復帰までのイメージを持つ
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其の三:休業前には仕事を抱え込まず、丁寧な引き継ぎを
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其の四:職場への感謝の気持ちを忘れずに
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其の五:復帰後に「子どもがいるから」を理由にするのは最後の手段
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上述の「育児休業制度利用の作法」は、筆者自身の失敗や反省も踏まえたものである。長女の出産のときは、パンパンに仕事を抱えたうえでの突然の切迫流産による入院で、当時の管理職や職場のメンバーに大きな迷惑をかけた。次女が0歳の時には、喘息で何度も入院し、退院後も1日4~5回、自宅の携帯用吸入器で吸入をする必要があった。何社ものベビーシッター会社に吸入をともなうシッティングを依頼したものの全て断られ、やっと1社、対応を快諾してくれた会社にめぐり会ったのは職場復帰の3日前だった。
筆者の失敗や反省が結実した「作法」には何の拘束力もないが、振り返るべき制度の歴史と、思いやるべき制度の未来が、「作法」を守るインセンティブになり得るのではないか。
どんな制度にも、歴史があり、未来がある。育児休業がなかった時代の働く母親達の苦労の歴史、育児休業制度の創設・改善に尽力してきた人達の努力の歴史を経て、今の育児休業制度がある。苦労と努力の末に生まれ育ったこの制度が、労働者が必要な時に安心して利用できる、企業が労働者の意欲や生産性の向上といったメリットを実感できる、といった未来の好循環につながっていくように、制度利用者のかたがたにも、「作法」を守ったうえでの制度利用を心がけて頂きたい。
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松浦 民恵
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