2012年05月31日

パフォーマンス評価-評価基準は常識なのか迷信なのか

  遅澤 秀一

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■見出し

1―はじめに
2―定量評価と投資の時間論
3―定性評価について考える
4―終わりに

■introduction

AIJ投資顧問問題が発覚した際、公表されたパフォーマンス・データは「良過ぎてありえない」とかねてより思っていたとの声が資産運用業界の中で続出した。だが、運用評価機関がAIJ投資顧問を顧客に推奨しなかったのは情報開示姿勢に問題ありとしたからであって、過去のパフォーマンスが理由ではなかった。統計的にほとんど起こりえないということと、実際に起こったか起こらないかは別の話である。パフォーマンスが「良すぎる」ことが問題だというところで思考停止してしまえば、ありうる程度の数値に捏造されたデータを見抜けないことになる。また、本当にスキルのある運用会社を見落とすことにもなる。

米国においてもバーナード・マドフ事件という、一説によれば被害総額650億ドルに上る詐欺事件が起こったことがある。このような事例は例外的ではないかと思われるかもしれないが、2003年には米国のミューチュアル・ファンド業界を舞台に不正問題が発生した。これは詐欺事件とは異なりフロント・ランニング等のスキャンダルであったが、資産運用会社が顧客重視の姿勢を貫いているのか、という運用会社としての原点そのものが問われるものであった。それを受けて2004年に投信評価会社であるMorningstar社はStewardship gradesというファンドの定性評価を開始した。それまでは過去のパフォーマンスによってファンドのレーティングを付与していたのに対し、経営陣の質や企業文化などを含む5項目から成っている、新たなレーティングを創設したのである。2004年の公表以降、データの蓄積が進んだこともあり、米国ではStewardship gradesによるファンドの定性評価とパフォーマンスとの関係の実証分析が行われている。

運用のパフォーマンス評価に関しては、運用評価会社やコンサルティング会社などから多くの情報が顧客に提供されているが、評価および評価方法の問題点や将来のパフォーマンスとの関連性については明確でないことも多い。そこで本稿では、海外の実証分析結果の概略を紹介しながら、パフォーマンス評価(定量評価・定性評価)にまつわる論点を整理することを試み、パフォーマンス評価に対してどのような姿勢で臨めばよいのかを考えたい。

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