2012年05月30日

“大介護時代”のライフデザイン-“介護男”の「老い支度」

社会研究部 主任研究員   土堤内 昭雄

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■見出し

はじめに~大介護時代の訪れ
1―要介護者の現状と課題
2―介護給付サービスの現状と課題
3―介護者の現状と課題
4―男性介護者をめぐる課題
5―“介護男”の「老い支度」
おわりに~“介護男”は「老い支度」上手

■introduction

国立社会保障・人口問題研究所が2012年1月に公表した最新の日本の将来人口推計によると、50年後にわが国の総人口は約3割減り、子どもと現役世代が半減、社会全体の約4割が高齢者になるという。特に、今年は団塊世代が65歳に到達し始める年で、今後3年間に600万人以上が新たに高齢者になる計算だ。そして10年後にはこれらの人たちが75歳以上の後期高齢者の仲間入りを始める。
現在、公的介護保険の65歳以上被保険者は約2,900万人、そのうち要介護・要支援認定者は約470万人だ。そして09年度現在の75歳以上の後期高齢者の要介護割合は前期高齢者の7倍にも上り、10年後に団塊世代が後期高齢者になると日本はまさに“大介護時代”を迎えるのである。
このように増加し続ける高齢者介護を一体誰が担っているのだろう。厚生労働省「国民生活基礎調査」によると、要介護者の3人に2人は主に同居する家族に介護されている。次いで事業者による介護や別居する家族による介護となっている。傾向としては同居家族による介護が減少し、事業者と別居家族による介護が増加している。その背景には「一人暮らし」の増加があり、20年には世帯主年齢が65歳以上の高齢世帯では4割近くが「一人暮らし」になるのだ。
一方、同居または別居する家族の主な介護者の約7割は女性だが、近年では男性比率が上昇している。また、年齢別では男女ともに50~60歳代が全体の5~6割を占め、仕事を持っている中高年介護者が増えている。そのため介護を理由とする介護離職者も増加しており、男性は全体の2割程度だが、着実に増加している。
それは同居する主な介護者として「子の配偶者」(主に要介護者の息子の妻)が近年大幅に減少しているからだ。その理由として40~50歳代の女性の就業率が上昇していることからもわかるように、共働き世帯が増え、仕事を持つ妻は夫の親の介護まで手が回らないのだ。このようにしてやがて多くの中高年男性が親や配偶者の介護問題に直面する“介護男”の時代がやってくるのである。
これまでワークライフバランスは少子化対策として「仕事と子育ての両立」が重要な視点だったが、今後、高齢化が一段と進むと「仕事と介護の両立」が重要になる。その実現は中高年男性も含めた世代を超えた喫緊の課題となり、企業は新たな対応を迫られることになるだろう。そしてこれら“介護男”は介護者および要介護者の両面から自らの「老い支度」を考え始めなければならないのである。

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社会研究部   主任研究員

土堤内 昭雄 (どてうち あきお)

研究・専門分野
少子高齢化・家族、市民社会・NPO、都市・地域計画

(2012年05月30日「基礎研レポート」)

レポート

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