2012年04月26日

どのような人がリスクのある投資をするのか?

金融研究部 主任研究員・年金総合リサーチセンター兼任   北村 智紀

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■見出し

1――はじめに
2――分析結果
3――結論

■introduction

世の中には様々な投資商品がある。預貯金や国債のようにリスクが低い投資商品もあれば、株式、金、不動産などのリスクの高いものもある。一般には、銀行預金や国債は貯蓄であり、投資とは考えない人が多いかもしれないが、退職後の生活費を準備するための手段と考えれば、投資商品の一つとしても良いだろう。最もシンプルな証券投資(ファイナンス)の理論では、どのような投資家であっても、リスクはあるが預貯金よりは高いリターンを期待できる投資商品に、多かれ少なかれ、投資すべきとしている。どのくらい投資するかについては、その投資家がどのくらいリスクに耐えられるかによって決まるが、どんなにリスクが嫌な投資家であっても、全く投資しないということがあり得ないというものである。
もう少し進んだ理論では、投資にはコストがかかるものであり、リスクが高くリターンが期待できる投資は、一般にコストが高い。そうであるならば、コストに見合わない投資を行わない人もいるというのは不自然ではない。しかし、一般にリスクのある投資を行う人は少ない。最近ではインターネットの普及により、株式投資のコストは以前と比べて著しく低下しているにも拘らず、株式投資を行っている人はそれほど多くない。金融広報中央委員会の統計によれば、家計の持つ金融資産のうち、株式関連商品の占める割合は約9%にしか過ぎない。
著者等の研究によれば、家計で株式投資が行われないのは、株式投資に必要な十分な金融や経済に関する知識や経験を得る機会が少ないことや、短期的な株価の下落により目に見えた損失を被ることを非常に嫌がる人が多いことが、その理由とも考えられる。しかし、そうはいうものの、一部では非常にリスクが高いが、高いリターンが狙える投資を行っている人も存在している。そこで、本稿は、どのような人がリスクの高い投資を魅力的に考えているのかを分析した。これにより、個人がリスクの高い投資を行おうとするには、どのような条件が必要なのかについて検討を試みようとするものである。
リスクの高い投資はいろいろ考えられるが、ここでは、中国やインドなどのエマージング・マーケットへの投資(新興国投資)と、将来的な成長が見込まれる規模の小さい企業への投資(小型成長株投資)を対象にした。これらの投資は、専門家の間では、リスクは大きいが高いリターンを狙える投資商品だと考えられている。現在の預貯金の利回りは低く、日本の優良株はここ何年も大きな値上がりを見ていない。そのため、預貯金や優良株よりも新興国や小型成長株の方が値上がりするだろうと考える人が、これらの商品を魅力的に思うはずだが、どのような人が、このような考えを持つのか見つけてみようとするものである。




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金融研究部   主任研究員・年金総合リサーチセンター兼任

北村 智紀 (きたむら ともき)

研究・専門分野
年金運用・リスク管理、公的年金

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