コラム
2012年04月17日

公園に見る多世代の運動風景-ライフスタイルへの織り込み進む運動習慣-

社会研究部 准主任研究員   青山 正治

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長年、散歩をしていると、近年、公園内でウォーキングやゆっくりとしたジョギング等を行う人が、それも中高齢者だけでなく、20~30歳代の若い世代も交えてかなり増えたように思われる。この都市型の公園がそれらの人々に提供するメリットは、単に健康維持・増進のための活動や運動機会だけではないだろう。公園という、車道から遮断された広々とした空間でのこれら運動で得られる爽快感や開放感、満足感は、街中の一般道の歩道での運動と比較すれば一段と高く、利用者のQOL向上に大きく寄与していよう。また、樹木の多い環境は、四季の変化を反映して飽きない環境を提供する点も継続的な利用者にとっては魅力の一つであろう。ちなみに、筆者の近隣にある公園の休日の風景は以下の通りだ。

広い芝生の広場が整備され多くの樹木が生い茂るこの公園では、カラスが活動を開始する早朝4時を回ったころから高齢者の単独又は2~3人のグループのウォーキングが始まる。5~6時頃にはかなりの数の老夫婦や犬の散歩を兼ねた中高齢者が散歩やウォーキングをするようになる。そして、6時半前になると広場の一角にラジカセが持ち込まれ、恒例のラジオ体操が始まる。過去、10年ほど前と比較するとその人数は倍ほどに増え、さらに中高齢者ばかりでなくジョギング中の若い世代も加わり、木々の間や芝生に広がった老若男女がお馴染みの音楽に合わせて体操を行う。このラジオ体操には公園近辺に住み、単独で参加する高齢の女性の姿も多い。全体の人数はカウント不可能だが、100人は軽く超えていよう。体操が終了すると、早朝の第一グループは速やかに解散され帰路に着く。この朝のラジオ体操終了後は、ウォーキングの高齢者やジョギングの若い世代を残し、公園内は暫らく静寂の時を迎える。7時を過ぎる頃には、10人以上の犬の散歩チームが様々な犬種の愛犬を連れて集合し、ミーティング(愛犬談義)が開催されているシーンをよく見かける。その後、この公園の隅にある小規模の野球場とサッカー場が、社会人の早朝野球チームや少年サッカーチームの母子で賑わい始め、10時以降から昼前にかけて幼児や小中学生の家族連れや若者のグループが続々とやって来て、バドミントンやボール遊びに興じる。この状況が夕刻まで続き、夕刻前からは朝の状況が再現され、犬の散歩の人々とウォーキングやジョギングの老若男女が日没頃まで活動・運動をしている。夜間にジョギングやランニングをする人々も居るが数は少ない。

超高齢社会の在り方として健康寿命の延伸が、医療・介護の社会保障費の増大抑制という観点からだけでなく、個人のQOL向上の点からも極めて重要な一テーマとなっている。健康の維持・増進のための重要な要素には栄養摂取や身体活動など幾つかあるが、特に運動等に絞れば、マラソン等々のスポーツ・イベントへの参加者の急増に見られるように、生活に定着した運動を実践する人は増えていると思われる。しかし、健康維持・増進の問題意識を有する人の数からすれば、その割合はかなり低いのではないだろうか。特に社会人となってからは、時間的な制約等々により運動から遠ざかる人も少なくなかろう。この点においてメタボ対策や疾病予防を含めた運動の効果への期待は大きい。既に様々な社会的取り組みは行われている。しかし、今以上に青年期から高齢者を含む社会人向けに運動生理学等々のエビデンスに基づく最新知識や、各種運動を実践する際の様々な注意点や基礎知識の提供機会を増やす必要性もあろう。また、一層の環境整備によって、身体活動や運動の習慣を生活に定着させることが重要である。一病息災という言葉も納得性が高いが、健康で居たほうが好かったと思う人も少なくないのではないだろうか。読者のみなさんは、何か体に良い活動や運動を継続していますか。

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社会研究部   准主任研究員

青山 正治 (あおやま まさはる)

研究・専門分野
少子高齢社会・社会保障

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