2012年03月29日

BCPからみた東日本大震災とタイ大洪水の教訓―経営資源と「災害の影響」に着目した新しいリスク・シナリオ

川村 雅彦

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1  昨年3月11日の東日本大震災から1年。未曾有の大地震に続いて巨大津波と原発事故に直面し、多方面で「想定外」という言葉を聞いた。10月にはタイで「想定外」の大洪水が発生し、多くの日系企業が被災した。本稿ではBCP(事業継続計画)の観点から、まず両災害における「想定外の連鎖」の構図を明らかにする。

2  両災害においては、サプライチェーンの途絶をはじめ様々な「想定外の事態」が発生し、業務や操業の機能停止が多方面に影響を及ぼし、BCPの欠落が一つの要因となっている。そこで、BCPの意義を再確認するとともに、東日本大震災前のBCP策定状況とその実効性を検証する。

3  従来の「災害の原因」ごとに策定するBCPの限界を明らかにし、「災害の影響」に着目した新しいBCPの考え方を提示する。「想定外」のない実効性の高いBCPを策定するためには、リスク・シナリオを「リスク事象型」から経営資源に着目した「機能停止型シナリオ」へと転換する必要がある。

4  効果的・実践的なBCPを策定するためには様々な課題がある。筆者の考え方をたたき台とした有識者や企業の担当者による議論を基に、今後の課題を論点整理の形でまとめる。

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(2012年03月29日「基礎研Research Paper」)

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【BCPからみた東日本大震災とタイ大洪水の教訓―経営資源と「災害の影響」に着目した新しいリスク・シナリオ】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。

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