コラム
2012年03月14日

3月14日に起こったこと

明田 裕

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2011年3月14日月曜日、朝起きてテレビをつけて仰天した。電車の発着がない東京近郊のJRの駅のもようが映し出され、山手線などは動いているが、筆者が日頃利用する路線を含めJRのほとんどの路線は止まっているとアナウンスされていた。前日の日曜日の夜11-12時頃に就寝したときには、計画停電のことは報じられていたものの、まさか電車が止まるとは思いもよらなかった。

あわてて並行線の私鉄の駅に急いだが、電車は来ないし来たらすし詰め。何とか乗り込むとノロノロ運転。さらに「10時になるとその場所で止まるのであらかじめご了承ください」とのアナウンスでやきもき。ようやく10時少し前に地下鉄との連絡駅に着き、嘘のようにスムーズに動いている地下鉄に乗り換えて会社にたどり着くことができたが、帰りも地下鉄を降りてから自宅にたどり着くまでは一苦労だった。

首都圏をモザイク状に5つの区域に色分けし、それぞれの区域ごとに時間を限って電気を停めるという計画停電の方式は、そうした区域をまたがって運転される電車には適用しにくい(適用するとすれば14日のように全面的に止める必要がある)ものだし、そもそも都市の動脈ともいうべき電車を止めては、市民生活が成り立たない。

そうしたことから、翌日の15日以降は、電車は計画停電の対象から外されたもようで、大規模に電車が止まるようなことはなかったが、14日はどうして止めることになったのか。日経新聞の3月14日朝刊は「13日、国土交通省が鉄道に大幅な影響が出るとして国民に対して『通勤・通学など外出を控えて欲しい』と呼びかける異例の事態となった」と報じており、政府中枢で電車を止めるという判断がなされていたことが分かる。

東日本大震災の発生以来1年間の震災関連の検証報道を振り返ると、津波・原発を中心としながらも、それにとどまらず、首都圏の帰宅難民・計画停電などの問題も含め極めて広い範囲に及んでいる。しかしながら、この日に起こった首都圏の交通網の混乱についてはあまり取り上げられることがないようだ。計画停電実施の判断が前日夜にずれ込んだために時間がなかったということが主因だろうが、それだけだろうか? 命に関わるといった深刻な問題ではないものの、この問題についても検証作業を望みたいものである。
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