2012年03月02日

最近の人民元と今後の展開(2012年3月号)

三尾 幸吉郎

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■前月の動き

前月の対米国ドル人民元相場(基準値)は、2月7日に当月安値の1米国ドル=6.3116元を付けた後、習副主席の訪米を直前に控えた10日には、人民元切り上げ開始(2005年7月)以降の最高値を更新、「習副主席訪米を控えた2月前半は・・・上限を試す可能性が高い」と予想した通りの展開となった。しかし、その後は一進一退の展開となったものの、2月末には予想に反して再び最高値を更新、前月末比0.3%上昇の1米国ドル=6.2919元で終了した(図表-1)。
他方、1年先の人民元相場を予測して動くNDF(ノンデリバラブル・フォワード、1年先渡し)は、1米国ドル=6.2元台後半での取引となり、2月末は1米国ドル=6.2850元(WM/Reuters)と前月末とほぼ同水準で終えた。その結果、両者の乖離幅(基準値―1年NDF)はプラスを維持したものの前月末より乖離幅が縮小、ボックス圏での推移を予想する市場参加者が主流になってきたようだ(図表-2)。なお、1月末の春節(旧正月)前後には、一時的なドル需要の盛り上がりで、現物の実勢取引が基準値の0.5%下限に接近したが、2月はほぼ基準値近辺で取引されており、市場の取引は落ち着きを取り戻しつつある(図表-3)。
また、主要新興国通貨の2月の動きは、欧州危機に対する過度に悲観的な見方が後退する中で、インド(ルピー)、ブラジル(レアル)、ロシア(ルーブル)はいずれも米国ドルに対して上昇した。特に、原油高を追い風としたルーブルの戻りには勢いがあり、昨年7月高値から同10月安値までの下落幅の7割を回復した。他方、人民元は小幅上昇に留まったため、新興国通貨の中での人民元の相対割高は解消に向かっている。但し、人民元切り上げが再開された2010年6月18日を基準(=100)とすると、ルピーに対する割高感は依然として残る(図表-4)。

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