2012年03月01日

インド10-12月期GDP:前年同期比+6.1%~低成長だが、内需が持ち直したことは好感

経済研究部 主任研究員 高山 武士

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■見出し

・現状:低成長も、内需は持ち直し
・インフレ懸念が後退し、利下げが実施されれば成長率底打ちの可能性も

■introduction

インド中央統計機構(CSO)は2月29日に2011年10-12月期の国内総生産(GDP)を公表した。実質のGDP成長率(供給側 )は前年同期比6.1%の増加となり、2010年の10-12月期(前年同期比+8.3%をピークに4四半期連続で成長率は鈍化した。
10-12月期の成長を供給側から見ると、第一次産業と第二次産業が不振だったことが分かる(図表1)。このうち、第二次産業は景気変動によって大きく上下しやすく、2011年後半からは第二次産業の不調が続いている。特に、10-12月期は第二次産業のうち製造業が前年同期比+0.4%と低迷、鉱業が前年同期比▲3.1%と2期連続のマイナスとなったことが成長率を押し下げている 。第一次産業は景気による変動は小さいものの、今期は雑穀や豆類の収穫が不調で、前年同期比+2.7%と微増にとどまったため、成長を抑制している 。一方、第三次産業は底堅い成長をしていると評価できる。金融・保険・不動産・事業サービスは前年同期比+9.0%と7-9月期(同+10.5%)よりは減速したものの、好調だった。GDPシェアで最大の小売・ホテル・運輸・通信も前年同期比+9.2%と高い成長を維持している。
支出側では、個人消費が回復したことが好材料と言える(図表2)。7-9月期の個人消費は前年同期比+2.9%と歴史的な低成長を記録しており、インドの高いインフレ率が消費者に大きな影響を与えていることが懸念された。しかし、10-12月期の個人消費は前年同期比で+6.2%まで回復しており、個人消費の急減速という懸念はひとまず後退したといえる。投資も前年同期比▲1.2%とマイナス成長であったが、7-9月期の▲4.0%よりは改善している。こうしたことから、成長率全体としては低い水準となっているものの、内需は7-9月期より持ち直していると評価できる。

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経済研究部   主任研究員

高山 武士 (たかやま たけし)

研究・専門分野
欧州経済、世界経済

経歴
  • 【職歴】
     2002年 東京工業大学入学(理学部)
     2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
     2009年 日本経済研究センターへ派遣
     2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
     2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
     2014年 同、米国経済担当
     2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
     2020年 ニッセイ基礎研究所
     2023年より現職

    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会 検定会員

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