2012年02月29日

鉱工業生産12年1月~生産は足踏み状態から脱却へ

経済研究部 経済調査部長 斎藤 太郎

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■見出し

・タイの洪水による供給制約の緩和から2ヵ月連続の上昇
・生産は足踏み状態から脱却へ

■introduction

経済産業省が2月29日に公表した鉱工業指数によると、12年1月の鉱工業生産指数は前月比2.0%と2ヵ月連続で上昇し、事前の市場予想(QUICK集計:前月比1.5%、当社予想は同1.2%)を上回った。
1月の生産を業種別に見ると、タイの洪水による供給制約の緩和から12月に高い伸びを記録した輸送機械(12月:前月比13.2%→1月:同3.3%)、情報通信機械(12月:前月比34.8%→1月:同12.0%)が引き続き生産全体を大きく押し上げる形となった。輸送機械はタイの洪水に伴う部品不足の解消に加え、米国向けを中心に輸出が持ち直していること、エコカー補助金再開の効果などから国内の自動車販売が好調であることも追い風となっている。一方、海外経済減速に伴う輸出の低迷を背景に一般機械は前月比▲0.3%の低下、在庫調整の進展から12月に前月比7.0%の高い伸びとなった電子部品・デバイスは前月比▲1.3%の低下となった。
製造工業生産予測指数は、12年2月が前月比1.7%、3月が同1.7%となった。生産計画の修正状況を示す実現率(1月)、予測修正率(2月)はそれぞれ0.2%、0.7%であった。実現率、予測修正率がともにプラスとなったのは、東日本大震災前の11年2月速報時以来ほぼ1年ぶりのことである。
12年1月の生産指数を2月、3月の予測指数で先延ばしすると、12年1-3月期の鉱工業生産は前期比5.4%の上昇となる。また、2月、3月の予測指数の伸びが実現すれば、生産指数の水準は3月には震災前(11年2月)を上回ることになる。
引き続き、海外経済、為替、原油など外部環境の悪化によって下振れするリスクはあるものの、今月の結果は鉱工業生産が昨年夏場以降の足踏み状態から脱却しつつあることを示したものと評価することができるだろう。

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経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴
  • ・ 1992年:日本生命保険相互会社
    ・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
    ・ 2019年8月より現職

    ・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2018年~ 統計委員会専門委員

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