2012年01月31日

高齢者が活きる時代―幸福な高齢社会への政策選択

社会研究部 主任研究員   土堤内 昭雄

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■見出し

はじめに――選択基準としての「幸福度」
1――幸福度と年齢
2――幸福度の判断要素
3――幸福度の加齢効果と時代効果
4――高齢者の幸福度向上への政策選択
おわりに──「高齢者が活きる時代」へ

■introduction

2009年の政権交代以降、民主党政権が掲げたマニフェストの実行性には疑問が呈され、政策変更も生じている。その背景には、マニフェストに掲げる政策に対する財源の裏づけが不十分なことや、政策全般に共通する理念が必ずしも明確でないことがあるのではないだろうか。現在、社会保障と税の一体改革が議論されているが、日本の将来像と財源問題は不可分だ。しかも少子高齢化が一段と進むなかで逼迫する財政状況においては、将来ビジョンを実現するために政策の優先度を考えた政策選択が重要なのである。
では、その政策選択に必要な判断基準・指針とは何だろう。そのひとつは「国民の幸福度」と考えられる。国民の幸福の実現は単なる「私利」の追求ではなく、それは社会としての良好な関係性を育み、健全な社会全体の幸福感の向上につながる。従って、「国民の幸福度」を今後の国のビジョンを実現するための政策選択のひとつの基準と考えることは妥当だろう。但し、国民の主観的な幸福度は個々人で異なり、その実現方法も多様であり、国民の幸福度を政策選択の統一的な基準として設定することは難しく、「個人の幸福」が「社会の幸福」に寄与するか、「現在世代の幸福」が「将来世代の幸福」を毀損しないかなど多角的な議論が必要である。
昨年3月11日、東日本大震災が発生し、多くの人の幸福感に大きな影響を与えた。「若年層の幸福度に関する調査」(内閣府、2011年3月)では、直接被災した人たちだけではなく被災地(東北6県と茨城県)以外の20~39歳の若者のうち約6割が「東日本大震災により人生や幸福について考え方が変化した」と回答している。このような激動の時代にあって、人々は家族や地域における人とのつながりや生きがいを見直し、「個人」として、そして「社会」としての幸福を模索し始めているのだ。
わが国は世界で最も少子高齢化の進んだ国であり、今後その人口構造は大きな社会コストを必要とするだろう。これまでのような医療、介護、年金といった高齢者を中心とした社会保障制度の充実には限界もみえる。本稿ではだれもが安全に安心して暮らせる「幸福な高齢社会」を実現するための政策選択について「高齢者の幸福」を基点として考えてみたい。

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社会研究部   主任研究員

土堤内 昭雄 (どてうち あきお)

研究・専門分野
少子高齢化・家族、市民社会・NPO、都市・地域計画

(2012年01月31日「ジェロントロジージャーナル」)

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