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東京証券取引所は、2011年4月から中古マンションの価格動向を表した東証住宅価格指数を発表しており、日本で初めて同一物件の取引価格変化を集計する手法(リピートセールス法)を採用している。これまでもマンション価格指数は存在してきたが、取引価格の対象物件が一定でなく、例えば、新しく高級な物件の取引が増えると価格が上昇したように見えるといった欠点があった。同じ手法で算出された住宅価格指数には、米国のS&Pケース・シラー住宅価格指数や、香港の香港大学住宅価格指数などがあり、東証住宅価格指数によって日本を含む国際比較が可能となった。
2000年以降の3市場の動きを見てみると(下図)、金融市場のグローバル化にも拘わらず、住宅価格動向は三者三様となっており、色濃く国内経済を反映しているとみられる。
まず、香港では、上海の台頭からその存在意義を問われる中、SARSの発生もあって03年までかなりの価格下落が見られた。その後のCEPA(中国との経済貿易緊密化協定)締結以降は、金融センターとしての立場を固め、リーマンショックによる一時的な落ち込みを除き価格上昇は飛躍的である。また、最近では、既に欧州財政危機を受けた世界景気不安を反映し始めている。
一方、米国では、サブプライム問題が顕在化した07年まで長期に亘る価格上昇トレンドが見られていた。しかし、その後は価格下落が続き、09年以降の世界景気回復局面においても本格的な回復は見られず、現在も底値水準での推移となっている。
また、大きく変動した上記2市場とは対照的に、日本では長期的に価格変動が小さい。一般に、90年代初頭の土地バブル崩壊以降、日本では海外よりも不動産に対するリスク意識が高い。しかし実際には、10余年経済が低迷する中でも、日本の中古マンションの価格下落は限定的であった。大きな値上がりは期待できないものの、家賃による年数%の収益が見込め、世界的にみてかなり安定性の高い資産とみることができる。この安定性は、中華系富裕層など、海外投資家の間で日本の住宅投資への関心が高まっている理由のひとつと考えられる。
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増宮 守
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