コラム
2012年01月13日

26地域が指定された「地域活性化総合特区」・・・「総合特区」には一層の注目を

社会研究部 准主任研究員   青山 正治

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2011年12月下旬に総合特別区域(総合特区)の2つのパターンの指定地域が発表され、そのうち「国際戦略総合特区」についてはその概略を紹介した(拙稿12月28日「研究員の眼」)。ここでは、もう一つの「地域活性化総合特区」に指定された26地域を概観したい。ただ、筆者からすれば、この「総合特区」について、世の中の注目度が低過ぎるとの印象がある。勿論、日本が直面している諸課題の中でも、将来の生活に直結する社会保障制度や税制の改革が足許で最優先課題視されるのは当然である。しかしながら、中長期的に日本の超高齢社会に対応した持続可能な経済社会を構築するために先導的役割を担う「総合特区」の動向にも、今以上の注目が必要ではないだろうか。以降では、指定地域が取組むテーマの幾つかに触れ、その意味合いについて考えてみたい。

まず、政府の「新成長戦略」の7つの戦略分野には、総合特区の活用を組み込んだテーマが多く出てくるが、このテーマの視点から、今回指定地域となった26地域が個別に取組むテーマを整理してみたい。すると、(1)「グリーンイノベーション(環境・エネルギー大国)」が10地域と最も多く、次いで(2)「ライフ・イノベーション(健康大国)」が8地域、(3)「観光立国・地域活性化(農林水産業)」が7地域となっている。この3テーマに続き、(4)「観光立国・地域活性化(観光等)」(4地域)、(5)「アジア拠点化・国際物流」(3地域)、(6)「まちづくり等」(3地域)となっている。((1)~(6)は便宜的な番号)

「地域活性化総合特区」では、各指定地域の産業集積の優位性や自然環境・資源の特性、事業達成の確実性が高いことなどが指定の背景にあるが、その内容は様々である。ユニークな内容と思われるものに、札幌市の「札幌コンテンツ特区(上記テーマ:(5))」があり、これは国内外の映画等のロケ地とできるよう規制緩和等を進め観光産業等への波及効果を創出し、地域全体の活性化を目標としている。また秋田県の「レアメタル等リサイクル資源特区(上記テーマ:(1))」は、国内の家電等の金属系使用済み製品のリサイクル関連産業を県内に集積し活性化を図る目標のほか、栃木県は「再生可能エネルギービジネスモデル創造特区(上記テーマ:(1))」として県内に集積する企業群の有する技術を活用し小水力発電事業を推進し、地域活性化を目指す目標である。また、千葉県柏市(柏の葉キャンパス「公民学連携による自律した都市経営」特区(上記テーマ:(1)、(2)、(6))は「都市経営」「地域エネルギー」「地域の健康・介護」の各解決策として「共創する持続可能な仕組み“CO-CREATE ECO-SYSTEM”」の構築による解決を目指す。このほかにも、「ライフ・イノベーション」関連の医療や介護、福祉に特化した地域や「観光」「農業」「まちづくり」等による活性化策の方針を掲げる特区が複数、指定されている。今後、これらのテーマにも順次触れてみたい。

「地域活性化総合特区」は「国際戦略総合特区」に比べ、事業範囲が絞り込まれていることや関係する団体数も比較的少なく迅速な合意形成も可能であるなど、早期の本格的事業開始につながる素地を持っている。これら各特区の地域活性化への取組みが奏功し、各地域の有する様々な産業集積や地域資源を最大限に活用した地域活性化が実現できれば、これが他地域の新たな取組みを誘発するという波及効果も期待できる。日本が超高齢社会に突入するなかで、持続可能な経済社会を構築するには、こういった地域ごとの動きが「面展開」できることが重要な意味を持つと考えている。特区にはこの場面での起爆剤としての働きを期待している。

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社会研究部   准主任研究員

青山 正治 (あおやま まさはる)

研究・専門分野
少子高齢社会・社会保障

(2012年01月13日「研究員の眼」)

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