コラム
2012年01月13日

IT技術の発達がユビキタスワークを可能にする!

生活研究部 上席研究員・ヘルスケアリサーチセンター・ジェロントロジー推進室兼任 金 明中

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朝6時ぐらいに起き、テレビをつけニュースを見ながら家族と食事をする。朝食が終わったら、犬の散歩をしながら公園のベンチに座って、スマートフォンで会社からのメールをチェックし、その日の業務内容やスケジュールを確認した後、家に戻ってからノートパソコンを利用し業務を始める。午前11時からは会議があるので、タブレットPCの電源をつけ、在宅勤務をしている仲間や上海のレストランで食事をしている上司と会議をする。会議が終わった後には買物から戻ってきた妻と一緒にランチをしながら、子どもの中学校受験について少し話をした後、また仕事モードに戻る。午後2時には再びタブレットPCを利用し、取引先と打ち合わせをした後、屋上で気分転換をしている間にスマートフォンにかかってきた顧客の問い合わせに対応する。午後4時にはその日の業務がすべて終わったので業務を整理し、会社のクラウド(cloud)に資料をアップロードした後、妻と一緒に習字を習いに行く。翌日は午前中に子どもの保護者会があるので午後から仕事をスタートする予定であるが、スマートフォンやタブレットPCがあるので、いつでもどこでも業務に対応することができる。

まさに夢のような生活がIT 技術の発達や普及により、現実のものになる可能性が高まっている。今までIT技術を活用した柔軟な働き方は「テレワーク」と呼ばれ、徐々に普及してきた。最近はiPhoneやiPadなどが登場してきており、労働者はより時間や場所の制約なく働くことが可能になった。知人の労働経済学者がこれを「テレワーク」と区別し、「ユビキタスワーク(ubiquitous work)」として取り上げていたので筆者も興味深く思った。

英語のubiquitousという言葉には、誰もがいつでもどこからでも情報ネットワークにアクセスできるという意味が含まれている。まさに「テレワーク」の進化型である。既存の「テレワーク」がノートパソコンや携帯電話を主な手段とした働き方だとすると、最近は、タブレットPCやスマートフォンなどを用いることによりポータビリティが高まり 、働く時間や場所の制限もほぼなくなった。

今後、IT 技術はさらなる発展が予想されており、既存の「テレワーク」という働き方も大きな変化が期待される。ここではこのような将来の新しい働き方を既存の「テレワーク」と区別し「ユビキタスワーク」という名前で紹介した。

現在、「ユビキタスワーク」のような柔軟な働き方を実現するインフラは整いつつある。「ユビキタスワーク」実現の日を迎えるためには、ハード面の準備と同時に仕事の進め方や企業や個人の意識の変革などソフト面の準備も進めておく必要がある。
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生活研究部   上席研究員・ヘルスケアリサーチセンター・ジェロントロジー推進室兼任

金 明中 (きむ みょんじゅん)

研究・専門分野
高齢者雇用、不安定労働、働き方改革、貧困・格差、日韓社会政策比較、日韓経済比較、人的資源管理、基礎統計

経歴
  • プロフィール
    【職歴】
    独立行政法人労働政策研究・研修機構アシスタント・フェロー、日本経済研究センター研究員を経て、2008年9月ニッセイ基礎研究所へ、2023年7月から現職

    ・2011年~ 日本女子大学非常勤講師
    ・2015年~ 日本女子大学現代女性キャリア研究所特任研究員
    ・2021年~ 横浜市立大学非常勤講師
    ・2021年~ 専修大学非常勤講師
    ・2021年~ 日本大学非常勤講師
    ・2022年~ 亜細亜大学都市創造学部特任准教授
    ・2022年~ 慶應義塾大学非常勤講師
    ・2024年~ 関東学院大学非常勤講師

    ・2019年  労働政策研究会議準備委員会準備委員
           東アジア経済経営学会理事
    ・2021年  第36回韓日経済経営国際学術大会準備委員会準備委員

    【加入団体等】
    ・日本経済学会
    ・日本労務学会
    ・社会政策学会
    ・日本労使関係研究協会
    ・東アジア経済経営学会
    ・現代韓国朝鮮学会
    ・韓国人事管理学会
    ・博士(慶應義塾大学、商学)

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