2011年10月24日

「競争力」で見る世界

研究員   高山 武士

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今後、世界の中で発展し、繁栄していく国・地域はどこだろうか。ここでは、繁栄の原動力となる「競争力」についての調査をひとつ紹介したい。WEF(世界経済フォーラム)が毎年公表している「競争力指数」である(図表-1)。
WEFが言う「競争力」の構成要素は、大きく「基礎力」「効率性」「洗練性・革新性」の3つに分類されている。基礎力には基本的社会制度(司法や行政についての仕組み)やインフラ(交通、通信網の設備)といった項目が含まれ、下図では円の大きさで表現した。効率性には労働市場の柔軟性(解雇や雇用についての慣行など)や、金融市場の成熟度(資金調達のしやすさ、銀行の健全性など)が含まれる(図では横軸で表現)。最後の洗練性・革新性というのは、ビジネス慣行(部品業者の質など)や技術革新(研究施設の質など)を指している(図では縦軸で表現)。
さて、下図を見てみると、総じて高所得国が高い評価を得ていることが分かる。ただし、評価されている項目は国によって多様である。例えば、香港やシンガポールでは金融市場の成熟度(効率性)が評価されており、米国は圧倒的な市場規模(効率性)を誇る。スイス、スウェーデン、日本は研究開発の環境(洗練性・革新性)で優位にある。一方、新興経済について見ると、中国では現地で事業を開始することに対する障害が高く(効率性)、インドはインフラが未熟である(基礎力)などの課題を抱える。フィリピンやインドネシアでは汚職(基礎力)が最大のネックとなっている。
アジア新興国の多くは近年、競争力の向上に努めており、高い経済成長を実現している国も多い。しかし、まだ競争力では先進国に及ばない。今後、世界経済の牽引役としての地位を確立するためには、自国の弱みを認識し、克服していく姿勢を続けることが欠かせないだろう。

研究員

高山 武士 (たかやま たけし)

研究・専門分野
米国経済

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