2011年10月21日

ユーロ圏首脳会議は危機拡大の流れを変えることができるのか?

経済研究部 常務理事 伊藤 さゆり

このレポートの関連カテゴリ

文字サイズ

  1. 今月23日と26日までに開催される2回のユーロ圏首脳会議で債務問題解決の「包括的な計画」をまとめることは国際公約となっている。焦点のギリシャの債務再編、EFSFの機能の最大化、厳格なストレステストを通じた銀行の資本増強策についての調整は必ずしも順調ではないが、26日までには一定の方向性や期限が示されるだろう。危機拡大を許した7月会議の轍を踏まないためには、信用収縮や政府の信用力に対する不安を生みだすリスクに配慮し、合意事項の実行までの空白期間を長引かせないことが重要だ。
  2. ギリシャ政府の債務再編という大きな山を越えても、競争力の欠如という問題は残る。ギリシャなどのユーロ離脱観測が燻り続ければ、域内の金融の正常化は妨げられる。成長戦略とガバナンス改革では、「いかに危機国の競争力強化を促し、域内格差の一方的拡大に歯止めを掛けるのか」という疑問に説得力のある答えを用意する必要がある。




ユーロ危機を巡る不安材料と現状
Xでシェアする Facebookでシェアする

このレポートの関連カテゴリ

経済研究部   常務理事

伊藤 さゆり (いとう さゆり)

研究・専門分野
欧州の政策、国際経済・金融

経歴
  • ・ 1987年 日本興業銀行入行
    ・ 2001年 ニッセイ基礎研究所入社
    ・ 2023年7月から現職

    ・ 2011~2012年度 二松学舎大学非常勤講師
    ・ 2011~2013年度 獨協大学非常勤講師
    ・ 2015年度~ 早稲田大学商学学術院非常勤講師
    ・ 2017年度~ 日本EU学会理事
    ・ 2017年度~ 日本経済団体連合会21世紀政策研究所研究委員
    ・ 2020~2022年度 日本国際フォーラム「米中覇権競争とインド太平洋地経学」、
               「欧州政策パネル」メンバー
    ・ 2022年度~ Discuss Japan編集委員
    ・ 2023年11月~ ジェトロ情報媒体に対する外部評価委員会委員
    ・ 2023年11月~ 経済産業省 産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会 委員

公式SNSアカウント

新着レポートを随時お届け!
日々の情報収集にぜひご活用ください。

週間アクセスランキング

レポート紹介

【ユーロ圏首脳会議は危機拡大の流れを変えることができるのか?】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。

ユーロ圏首脳会議は危機拡大の流れを変えることができるのか?のレポート Topへ