2011年09月22日

人事管理における喫緊の高齢化問題 ~中高年ホワイトカラーをどう処遇するか

生活研究部 主任研究員   松浦 民恵

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■要 旨

1.ホワイトカラーの年齢別人員構成をみると、管理職候補の絞り込みや登用が始まる30~40代が膨張する一方で、組織のフラット化やスリム化などを背景として、ライン管理職のポストは縮小してきている。労働力人口の減少により、多くの企業が人材不足に苦悩する時代が訪れると予測されるが、少なくとも今後10程度は、中高年ホワイトカラーの管理職ポストの不足が一層深刻化する。
2.本稿では、50歳以上の中高年ホワイトカラーに焦点を当て、「ライン管理職」「スタッフ管理職(専門的・技術的な仕事)」「スタッフ管理職(事務の仕事)」「一般社員(男性)」「一般社員(女性)」「60歳以上」といった6つの類型(役割タイプ)によって、労働条件や就業意識を比較した。
3.年収水準は、ライン管理職、スタッフ管理職(専門)、スタッフ管理職(事務)、一般社員(男性)、60歳以上、一般社員(女性)の順に低下し、同じ管理職でもライン管理職とスタッフ管理職(事務)の年収格差は93万円にのぼる。一方、仕事に対する満足度を比較すると、年収水準が低い60歳以上や一般社員(女性)が高い一方で、スタッフ管理職(事務)の満足度は最も低い。1970年代以降普及した専門職制度は、専門能力の活用を標榜する一方で、ライン管理職のポストにつけない層の受け皿として運用されてきた面が大きい。さらに1990年代以降には、役割や職務を重視する賃金制度の導入等により、管理職間の処遇格差が広がった。このようななか、専門職として位置付けられながら、実際には事務的な仕事に携わるスタッフ管理職が増大し、不満が顕在化している。
4.スタッフ管理職(事務)には、ライン管理職と同等の能力を持っているが一時的にライン管理職のポストに就いていない者、ライン管理職には不向きだが別の分野での活躍が期待できる者等が混在している。後者については、昇進競争とも従来型の高度専門職とも別の道で、付加価値の高い役割・責任を担ってもらう必要がある。そのためには、役割・責任の明確化、それに見合った処遇や体制の構築に加え、職務遂行のための教育も重要だろう。
5.年収が低いにもかかわらず満足度が高い60歳以上と一般社員(女性)は、「取り組む仕事自体への興味・関心」「仕事が自分にとって楽しいと思えること」「職場における良好な人間関係」によって仕事に対する意欲が向上する傾向が強い。人件費の制約から賃金、評価、昇進で報いることが難しいなかでも、人間関係良好な職場をつくり、やり甲斐のある仕事を提供できれば、中高年ホワイトカラーの仕事に対する意欲を向上させられる余地はあるのではないか。

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生活研究部   主任研究員

松浦 民恵 (まつうら たみえ)

研究・専門分野
雇用・就労・勤労者生活、少子高齢社会

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