2011年09月09日

8月マネー統計~資金需要は浮上せず

経済研究部 上席エコノミスト 上野 剛志

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■見出し

・貸出動向: 銀行貸出残高は対前年▲0.5%
・マネタリーベース:介入資金を市場に放置
・マネーストック: 流動性重視に変化なし

■introduction

日銀が発表した8月の貸出・資金吸収動向等によると、銀行総貸出(平残)の前年比伸び率は▲0.5%と前月の同▲0.6%から若干マイナス幅が縮小したものの、21ヶ月連続の減少となった。企業の資金需要に力強さはみられず、震災以降のマイナス幅縮小の動きに停滞感が出てきている。
内訳では、都銀等が前年比▲2.6%減(前月は▲2.7%減)、地銀が同1.7%増(前月も同じ)と、都銀減地銀増の構造は変わらず。7月に統計開始以来初めて地銀の貸出残高が都銀等を逆転したが、8月も逆転状態が続いている。
大企業向けでは3月の震災以降、下げ止まり傾向が出てきているが、銀行貸出全体の4割強を占める中小企業向け貸出の減少が止まらない。中小企業向け貸出は2007年9月以降47ヵ月にわたって前年比マイナスが継続しており、この間の残高減少は13兆円に達している(図表1~4)。

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経済研究部   上席エコノミスト

上野 剛志 (うえの つよし)

研究・専門分野
金融・為替、日本経済

経歴
  • ・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
    ・ 2007年 日本経済研究センター派遣
    ・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
    ・ 2009年 ニッセイ基礎研究所

    ・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)

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