2011年08月31日

高齢化時代の個人金融資産運用に求められる視点

金融研究部 年金総合リサーチセンター 企業年金調査室長   梅内 俊樹

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■目次

1――はじめに
2――現役世代の資産形成の一般的な考え方
3――現実の金融資産運用の世代別傾向
4――退職後世代の金融資産運用で認識すべき点
5――これからの退職後世代の金融資産運用で必要な視点
6――まとめ

■introduction

年金・医療・介護などの社会保障制度は、多くの現役世代で少ない高齢世代を支えることを前提としてきた。しかしながら世界で類を見ないスピードで進展する少子高齢化により、こうした前提は崩れつつある。国立社会保障・人口問題研究所の「日本の将来推計人口」(2006年推計)によると、2005年に66%であった15-64歳人口の割合が2030年には59%まで減少する一方、2005年に20%であった65歳以上人口の割合は2030年には32%まで上昇することが予測されている。2030年には1人の高齢世代
を15-64歳1.8人で支えなくてはならなくなる。3.9人で支えていた2000年から僅か30年で、支える現役世代の人数が半減するという急速な変化が見込まれているのである。
人口構成が急速かつ大きく変わり世代間扶養の限界が差し迫る中、社会保障制度の持続可能性を確保するため様々な角度から見直しが検討されている。特定の世代の負担が過重とならないよう世代間のみならず世代内での負担と給付のバランスをとることが制度改正の重要なポイントとなっている。ただいずれにしても財政健全化の観点からは国民の負担の増加と給付の削減は避けられないだろうし、世代間の公平性を勘案すると、現役世代のみならず高齢世代へも相応の負担が求められることになるだろう。高齢世代にとっては負担の増加と給付の削減の両面から、家計が圧迫されることが見込まれるのである。
こうした時代において個人が安心で豊かな老後生活を送るためには、もはや社会保障だけに頼ることはできない。共助・公助という社会保障に過度な期待を抱くのではなく、自助努力により自らの老後生活を支えること、そうした意識を持って老後に備えて資産形成を計画的に進めることが求められる。老後の生活資金は賃金収入が見込める現役時代に築くのが健全な自助の在り方と言える。しかしながら社会保障に関わる負担が増すことを想定すると、現役時代に老後の備えとしての資産を十分に積み立てることは今まで以上に難しくなるかもしれない。こう考えると現役時代の資産形成はもとより、金融資産を使いながら増やす退職後の金融資産運用の重要性は今後一層高まるものと想定される。

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金融研究部   年金総合リサーチセンター 企業年金調査室長

梅内 俊樹 (うめうち としき)

研究・専門分野
リスク管理、年金運用

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