2011年08月09日

7月マネー統計~地銀の貸出残高が初めて都銀等を上回る

経済研究部 上席エコノミスト 上野 剛志

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■見出し

・貸出動向: 銀行貸出残高は対前年▲0.6%
・主要銀行貸出動向アンケート調査: 企業の資金需要は再び減少、個人はさらに悪化
・マネタリーベース: 潤沢な資金供給が続く
・マネーストック: 流動性資産が高止まり

■introduction

日銀が発表した貸出・資金吸収動向等によると、7月の銀行総貸出(平残)の前年比伸び率は▲0.6%(前月も同じ)となった。震災以降続いていたマイナス幅縮小の動きは一服、企業の資金需要にまだ力強さはみられない。内訳では、都銀等が前月同様前年比▲2.7%減、地銀が同1.7%増(前月は同1.6%増)と、都銀等が足踏みする中、地銀の伸びが緩やかに拡大している(図表1~3)。
長期の流れでは、統計開始以来初めて、地銀の貸出残高が都銀等2を上回るという歴史的な転換点を迎えた(図表4)。20年前、91年7月時点の銀行貸出に占める地銀のシェアは32.6%にすぎなかったが、先月は50.01%と50%をわずかに突破。地銀が地公体向けや住宅ローンで貸出を取り込んだ影響もあるが、都銀等が貸出を大きく減らした影響が大きい。大企業の直接金融シフトなどが背景にあるとみられる。

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経済研究部   上席エコノミスト

上野 剛志 (うえの つよし)

研究・専門分野
金融・為替、日本経済

経歴
  • ・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
    ・ 2007年 日本経済研究センター派遣
    ・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
    ・ 2009年 ニッセイ基礎研究所

    ・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)

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