2011年08月05日

金融市場の動き(8月号)~海外要因に翻弄される円、解決も海外頼み

経済研究部 シニアエコノミスト   上野 剛志

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  1. (歴史的な円高ドル安) 円は大きく上昇し、政府・日銀が為替介入と追加金融緩和を実施するに至った。今回の円高は投機的な動きによって主導された色彩も強いが、従来、円ドルレートは米2年債利回りとの相関が強く、米経済の減速や世界的なショックが発生するたびに、日本の状況とはほぼ無関係に、米金利低下→日米金利差縮小を通じて円高ドル安圧力がかかるという構造的な問題を抱えている。従って、円高の本格的な是正は米金利上昇がカギとなるが、足元の米経済状況を見る限り当面は期待薄、円高圧力が残ることになる。現在の為替水準は輸出企業には深刻で産業空洞化も懸念される。また、一旦円安になっても世界経済の調子が悪くなるたびに円高になる構造は今後も続く。円高に耐え忍ぶだけでなく円高でもやっていける経済・産業の仕組みを作る必要がある。
  2. (日米欧金融政策) 7月はECBが利上げを実施。日米の金融政策に変更はなかったが、バーナンキ議長が議会証言にて追加緩和に言及。8月に入り日銀が追加緩和を実施、ECBが先行きへの強い警戒感を示すなど、景気の減速や金融市場の混乱を受けて、各国中銀の先行きへの見方・スタンスに変化がみられる。市場の欧米利上げ期待も大きく後退。
  3. (金融市場の動き) 7月の金融市場では円高ドル安が進行、債券が上昇し、株は横ばいとなった。金融市場では米景気などに対する先行き不安からリスク回避姿勢が相当強まっており、8月入り後も緊張した状況が続いている。当面は円高、債券上昇圧力が強い状態が続くだろう。



日米2年債利回り差と円ドルレート
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経済研究部   シニアエコノミスト

上野 剛志 (うえの つよし)

研究・専門分野
金融、日本経済

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