2011年06月14日

6月日銀決定会合:震災後初めて景気判断を上方修正、5000億円の新たな資金供給策を発表

総合政策研究部 常務理事 チーフエコノミスト・経済研究部 兼任 矢嶋 康次

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■見出し

・震災後初めて景気判断を上方修正、持ち直しの動きもみられている
・5000億円の新たな資金供給策
・成長基盤強化支援資金供給における新たな貸付枠の概要

■introduction

日銀は13-14日に金融政策決定会合を開き政策金利である無担保コール翌日物金利の誘導目標を0-0.1%程度に据え置き(全員一致)、総額40兆円の基金創設による各種金融資産買い入れにも変更はなかった。
景気の現状は、「最近は供給面の制約が和らぎ始め、家計や企業のマインドも幾分改善しつつあるもとで、生産活動や国内民間需要に持ち直しの動きもみられている」とし、先月の「震災の影響により、生産面を中心に下押し圧力の強い状態にある」から、今月「震災の影響により、生産面を中心に下押し圧力が続いているが、持ち直しの動きもみられている」に上方修正した(震災後初めて、3ヶ月ぶり、下図参照)。
先行きは、供給制約の和らぎによって生産が回復に向かっていくにつれ、好調な海外経済を背景とした輸出の増加や復興需要の顕在化などから、「2011年度後半以降、緩やかな回復経路に復していくと考えられる」との先月の見方を維持している。
現状、国内、海外ともに不確実性が高い。(1)海外経済の動向・円高、(2)原発問題(日本製品への輸入規制の動き、外国人旅行者の訪日動向など)、(3)電力供給問題など、(1)は上下ともに振れる可能性はあるが、(2)(3)はどちらかというと下振れリスクが強く、全体としても下振れを意識せざるをえない。
また、政治的にも今後の大型補正で国債増発は避けられず、日銀への追加緩和要求は強まるはずで、日銀は引き続き、下振れリスクを意識し、緩和的な金融政策運営を続けることになる。

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総合政策研究部   常務理事 チーフエコノミスト・経済研究部 兼任

矢嶋 康次 (やじま やすひで)

研究・専門分野
金融財政政策、日本経済 

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