2011年04月01日

3月調査日銀短観~大企業・製造業の景況感は1改善の6、地震の影響はほとんど反映せず

総合政策研究部 常務理事 チーフエコノミスト・経済研究部 兼任 矢嶋 康次

経済研究部 上席エコノミスト 上野 剛志

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  1. 大企業製造業業況判断D.I.は6と前回12月調査の5から1ポイント改善した。景況感の改善は2期ぶりとなる。3月11日に東日本大震災が発生し、直接的な被害に加えて、原発問題や電力不足等による大きな影響も出ており、この日を境に景況感が大きく異なっているはずであるが、今回短観では11日までに72%が回収済みであり、結果にはほとんど反映されなかった。日銀は4日に11日までの回収分と震災後12日以降の回収分を分けて改めて発表する予定とのことであり、その際に震災前後の景況感の動きが判明する。
  2. 3月初旬の時点では、日本経済は円高長期化や原油価格高騰といった懸念材料を抱えつつも、世界経済の回復や政策効果剥落に伴う反動減の底打ちなどから生産にも回復がみられ、足踏み脱却感が出ていた。今回調査ではこの状況が反映され、大企業製造業業況判断D.I.がわずかながらも改善し、足元の景況感とは大きく乖離した結果となっている。
  3. 2010年度の設備投資計画は、全規模・全産業で若干下方修正。また、11年度設備投資計画は全規模・全産業で対前年▲3.7%と10年度のスタート時(▲6.9%)をやや上回るレベルに留まった。企業の設備投資に対する慎重な姿勢がうかがわれる。なお、設備投資計画についても、今後復旧・復興関連以外の企業設備投資の先送りによる低迷が予想されることから、下方修正される可能性が高い。
 
業況判断DIは若干改善、先行きは悪化(大企業)
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総合政策研究部

矢嶋 康次 (やじま やすひで)

経済研究部

上野 剛志 (うえの つよし)

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