2011年03月30日

2011・2012年度経済見通し~大震災の発生を受けて2011年度の成長率を大幅に下方修正

経済研究部 経済調査部長 斎藤 太郎

文字サイズ

<実質成長率:2010年度2.8%、2011年度0.1%、2012年度2.7%を予想>
  1. 3/11に発生した「東北地方太平洋沖地震」を受けて経済見通しを改定した。実質GDP成長率は2010年度が2.8%、2011年度が0.1%、2012年度が2.7%と予想する。3/11時点の見通しからの修正幅は2010年度が▲0.2ポイント、2011年度が▲1.6ポイント、2012年度が+1.0ポイントである。
  2. 今回の震災は人的被害、物的被害ともに阪神淡路大震災を大きく上回ることが確実だが、それに加え原子力発電所の事故をきっかけとした電力供給不足の問題が長引くことが、日本経済を大きく下押しする。
  3. 震災で毀損したストックを再建するための復興需要は2011、2012年度ともにGDP比で1%程度の規模となることが見込まれる。しかし、電力不足に伴う経済の停滞が長引くため、復興需要のかなりの部分は景気悪化による投資抑制で相殺されてしまうだろう。
  4. 国内生産力の落ち込みによって輸出余力が低下する一方、復興需要のための資材調達や火力発電所の再開に伴う鉱物性燃料の需要増などから、輸入は増加基調が続くことが見込まれる。このため、貿易収支はリーマン・ショック以来の赤字となる可能性が高い。


実質GDP成長率の推移

Xでシェアする Facebookでシェアする

経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

公式SNSアカウント

新着レポートを随時お届け!
日々の情報収集にぜひご活用ください。

週間アクセスランキング

レポート紹介

【2011・2012年度経済見通し~大震災の発生を受けて2011年度の成長率を大幅に下方修正】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。

2011・2012年度経済見通し~大震災の発生を受けて2011年度の成長率を大幅に下方修正のレポート Topへ