- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 金融・為替 >
- 金融市場・外国為替(通貨・相場) >
- 2月マネー統計:リスク回避姿勢は未だ強い、現金が約5年ぶりの伸びを記録
■見出し
・貸出動向: 銀行貸出残高は対前年▲2.0%
・マネタリーベース: 資金供給量は3ヶ月連続で100兆円を突破
・マネーストック: 現金が4年11ヶ月ぶりの伸び率を記録
■introduction
日銀が発表した貸出・資金吸収動向等によると、2月の銀行総貸出(平残)の前年比伸び率は▲2.0%と前月の同▲1.9%から若干マイナス幅が拡大、15ヶ月連続の前年割れとなっている。
内訳では、底堅い地銀と大幅マイナスの都銀という二極化構造が続いている。地公体向け等の伸びに支えられた地銀(第2地銀含む)では前年比0.8%増(前月も同じ)とわずかながら増加傾向が続いている一方、大幅なマイナスが続く大企業向け貸出の影響を受けやすい都銀等では同▲4.6%(前月は同▲4.5%)と改善の兆しが見えない(図表1~4)。
企業の設備・運転資金需要は依然として力強さを欠いており、手元資金が積みあがっているため、前年比反転にはまだ時間がかかりそうだ。
日銀による「成長基盤強化を支援するための資金供給」(研究開発や環境などの分野への投融資に取り組む金融機関に対して、日銀が年0.1%の低利で資金を供給するもの)の第3回目が2月末に実施された(日銀からの資金供給は3月上旬に実行)。今回の対象先は122金融機関と前回から16増加したが、一部大手行で1行当たりの上限(1500億円)に達したため、供給額は7221億円と前回から28%減少した。
今回の対象は、10~12月に行われた122金融機関の投融資7806億円であり、1件当り平均金額は1.7億円(前回は2.4億円)と引き続き小口化した(図表5)。対象投融資の分野別累計投融資額は、最大の環境・エネルギー分野が全体の3割を占め、以下、医療・介護、社会インフラと続いている(図表6)。
同枠組みは12年3月の期限まで四半期に一度実施される予定(資金供給実行期限は同年6月末)だが、既に累計額は2.2兆円と資金枠3兆円の7割強まで利用が進んでいる。今後、資金枠拡大の動きが出てきそうだ。
同枠組みの活用は順調に進んでいるが、銀行貸出全体に盛り上がりはみられず、日銀が言う“呼び水”効果はなかなか確認できない。また、一部大手銀で既に上限に達していることから、枠の拡大がなければ、大手銀と地銀とで今後の取り組み状況にも差が出てくるだろう。
このレポートの関連カテゴリ
03-3512-1870
- ・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
・ 2007年 日本経済研究センター派遣
・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
・ 2009年 ニッセイ基礎研究所
・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)
公式SNSアカウント
新着レポートを随時お届け!日々の情報収集にぜひご活用ください。
新着記事
-
2024年04月23日
他国との再保険の監督に関する留意事項の検討(欧州)-EIOPAの声明 -
2024年04月23日
気候変動-温暖化の情報提示-気候変動問題の科学の専門家は“ドラマが少ない方向に誤る?” -
2024年04月23日
今後お金をかけたいもの・金融資産 -
2024年04月23日
今週のレポート・コラムまとめ【4/16-4/22発行分】 -
2024年04月22日
2024年3月、グローバル株式市場は上昇が継続
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2024年04月02日
News Release
-
2024年02月19日
News Release
-
2023年07月03日
News Release
【2月マネー統計:リスク回避姿勢は未だ強い、現金が約5年ぶりの伸びを記録】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
2月マネー統計:リスク回避姿勢は未だ強い、現金が約5年ぶりの伸びを記録のレポート Topへ