2011年03月01日

ベンチマークは負債のリターンである

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LDI(Liability Driven Investment)が人々の口の端に上り始めてから、5年になるだろうか。欧米ではLDI が徐々に広がっているのに対して、日本では「理屈はわかるけれど現時点では導入する必要がない」という年金基金が大半である。確かに今後、金利が上昇する可能性が高い現在、長期債への配分割合を高めることには疑問がある。また、スワップを取り入れると契約の手続きや取引の相手方(カウンターパーティ)のリスク管理の手間がかかる。
しかし、忘れてならないのは年金資産運用の理想である積立比率100%を達成するには、年金負債(給付債務)のリターン(増加率)を資産のリターンが上回らなくてはならないことである。従来の年金ALM のように責任準備金を負債とすればそのリターンは予定利率になる。しかし、退職給付債務を負債とすれば、負債のリターンは退職給付債務の増減であり、国債同様に市場金利が上昇(低下)すれば、そのリターンはマイナス(プラス)になる。
問題はその負債のリターンを資産のリターンが上回るのかどうかであり、長期債への配分割合やスワップの利用は、それに比べると取るに足らない。資産運用を管理する際のベンチマークとして、負債のリターン、つまり負債の公正価値の増減を常に頭に置いておく、これこそがLDI がもたらした考え方の転換である。

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