2010年12月03日

日銀短観(12月調査)予測~大企業製造業の業況判断D.I.は前回から横ばいの8

経済研究部 上席エコノミスト 上野 剛志

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  1. 12月調査・日銀短観では、大企業製造業の業況判断D.I.が頭打ちとなり、停滞感の濃い内容になりそうだ。注目度が高い大企業製造業では、輸出・生産が弱含み、長引く円高が企業マインドの重石となる一方、為替がやや円安方向に振れていること、米経済に一部明るさが見えていることが景況感の下支えとなる。大企業と比べ円高への対応力が限られる中小製造業では、D.I.の悪化を予想。非製造業では、長引くデフレに加え、政策効果・猛暑効果の剥落、たばこ増税による反動減などから、体感的な低迷感は強く、製造業以上に景況感の厳しさが現れそうだ。
  2. 2010年度の設備投資計画は前年度比0.6%増と前回調査の▲1.0%減からやや上方修正され、若干のプラスに転じると予想。企業の投資姿勢は依然慎重だが、例年12月調査は中小企業を中心に上方修正されやすいという統計上のクセが修正理由となる。
  3. 大企業製造業の想定為替レートが今回の注目ポイントだ。前回9月調査時点では、実勢との間に5円程度もの乖離が生じていた。急速に進む円高についていけなかったのが実情と思われる。今回はどこまで円高方向に修正されるかが注目されるが、今後の為替の方向性については見方が割れている可能性がある。想定レートの修正状況によって、今後の収益の上振れ、下振れリスクが見えてくる。


日銀短観業況判断D.I.の予測表
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経済研究部   上席エコノミスト

上野 剛志 (うえの つよし)

研究・専門分野
金融・為替、日本経済

経歴
  • ・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
    ・ 2007年 日本経済研究センター派遣
    ・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
    ・ 2009年 ニッセイ基礎研究所

    ・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)

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