2010年10月25日

中国不動産投資市場が第2位に

増宮 守

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先日、中国の2010年第2四半期GDPが日本を上回ったというニュースが話題となり、予想はされていたものの、両国経済の勢いの差を再認識することとなった。そのような中、一国の経済規模や成長段階を反映するとみられる不動産分野においても、2011年に中国の不動産投資市場規模が日本と英国を上回り、米国に次いで世界第2位になるという見通しが公表されている(DTZ Research“China closing in on top spot”, 11May2010, p16)。この予測では不動産の定義を、機関投資家が主な投資対象とする収益を生む投資用不動産としている。このため、分譲住宅や本社ビル、工場など自社利用不動産は市場規模に含まれていない。
ただし、中国不動産投資市場のあり様は日本とはかなり異なっている。日本の投資用不動産はオフィスビルが中心だが、中国の場合、投資用不動産の約半分は産業用不動産で占められ、次にショッピングセンターなど商業施設が多く、オフィスビルのシェアは非常に小さい。言い換えれば、世界の工場となった中国だけに、巨大で成長著しい生産機能と物流機能が不動産投資市場において大きな存在感を示し、市場規模を嵩上げしている。中国の不動産に関する報道では、分譲マンション価格の高騰によるバブル懸念ばかりに注目が集まっているようだが、不動産投資市場が十分な規模に達している点にも留意すべきである。
また、日米欧など先進国の不動産投資市場でオフィスビルが主要な投資対象となっていることから、中国においても、今後の高い経済成長の継続に伴い、現在の上海や北京のような大都市のオフィスビル市場がさらに拡大すると考えられる。このようにオフィス市場などをみると、中国には長期的にみて魅力的な投資機会が残されているともいえるだろう。

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増宮 守

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