2010年09月24日

魅力ある個人向け社債市場に向けて

金融研究部 取締役 研究理事 兼 年金総合リサーチセンター長 兼 ESG推進室長 德島 勝幸

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■目次

1--------はじめに
2--------個人向け社債市場の現状
3--------個人向け社債のリスク
4--------個人向け社債への批判と今後の課題
5--------終わりに

■introduction

日本の個人金融資産は1,452兆円あまり存在する(2010年3月末日本銀行『資金循環統計』)が、そのうち株式等の有価証券で保有されているのは200兆円にも満たず、13.7%相当でしかない。中でも債券形態での保有は、国債・地方債・社債等を合わせても、39兆円にしかならないのである。「貯蓄から投資へ」と言われ続けてきているものの、実際のところ、証券投資へのシフトは緩やかにしか進んでいない。有価証券に様々な形態・特質を有するものが存在している中で、個人金融資産の多くが高齢層に偏在している事実を考えると、株式のような価格変動幅の大きい有価証券よりも、元本の償還が確定しているだけでなく、定期的な利払いの見込める債券への投資が、個人金融資産を振り向ける対象として適切であると考えられる。
個人向けの債券としては、財務省が定期的に募集している個人向け国債もあるが、利回りが低いために必ずしも好調な売行きとなっていない。地方債においても、2002年以降“ミニ公募地方債”といった形で地域住民向けの債券募集が拡大されており、ある程度の残高となっている。しかし、個人向け国債と同様に利回りが低いため、必ずしも売行きが好調とは限らず、場合によっては、取扱金融機関の店頭で募残となっていることもあるようだ。これらと比較すると、信用リスクを負っているために利回りの高くなっている個人向け社債は、投資先として有効な選択肢となりうるのではなかろうか。

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金融研究部   取締役 研究理事 兼 年金総合リサーチセンター長 兼 ESG推進室長

德島 勝幸 (とくしま かつゆき)

研究・専門分野
債券・クレジット・ALM

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