2010年09月15日

中国の8月経済統計:景気減速に歯止めも今後はまだ楽観できず

経済研究部 上席研究員   三尾 幸吉郎

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■見出し

・景気減速に歯止め
・コア部分上昇率は頭打ち

■introduction

中国で先週発表された8月経済統計は景気減速に歯止めが掛かったことを示唆した。8月の小売売上高は前年同月比18.4%増と7月の同17.9%増を0.5ポイント上回り、8月の自動車販売は132万台を回復した。1-8月累計の固定資産投資(都市部)は前年同期比24.8%増と1-7月累計を0.1ポイント下回ったものの、国家統計局が発表した累計数値を元に8月単月の数値を推定すると7月に比べ1.6ポイント程度改善し、消費・投資ともに、ここ数ヵ月の鈍化傾向に歯止めが掛かった。
生産面を見ても、8月の工業生産(付加価値ベース)は前年同月比13.9%増と5ヵ月ぶりに前月の伸び率を上回り、工業企業の製品販売率(生産高に対する売上高の割合)は98.2%に上昇、製造業購買担当者景気指数(図表-2)でも新規受注が上昇し完成品在庫が減少する等、在庫調整の進展を窺わせる。
但し、今後はまだ楽観できない。中国政府はリーマンショック後の大型景気対策で急増した地方政府系投融資企業(融資平台)の管理を強化、景気優先で膨張した過剰生産能力の淘汰を進め、不動産バブルの膨張を管理するため不動産価格抑制策を継続し銀行融資の伸びを低位に抑制するとみられる。投資が再加速するのは一連のバブル抑制策に目処が立ち、次期5ヵ年計画が本格稼動し始める来年以降になる可能性が高い。
他方、中国政府が積極的に後押しする消費は、8月の改善も小幅でまだ軌道に乗ったとは言い難い。9月の中秋節、10月の国慶節と、春節とならぶ2大商戦の時期を迎えるだけに、企業収益の改善⇒賃上げ要求の高まり⇒労働報酬の増加⇒消費増加⇒消費関連の投資拡大という内需主導の好循環プロセスが軌道に乗るか否かは、これからが正念場と言えるだろう。

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経済研究部   上席研究員

三尾 幸吉郎 (みお こうきちろう)

研究・専門分野
中国経済

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