2010年07月26日

企業年金の盛衰

保険研究部 上席研究員・年金総合リサーチセンター 公的年金調査室長 兼任 中嶋 邦夫

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退職給付会計の導入をはじめとする企業年金関連の諸改正から約10年が経過した。
企業年金は、公的年金に次ぐ老後収入の第2の柱といわれる。退職一時金制度からの部分振替という事情はあるにせよ、1960年代の適格退職年金制度や厚生年金基金制度の創設から、順調に拡大を続けてきた。中には、インフレ対策として受給中に年金額が増える制度を導入する企業もあった。
しかし、1990年代の半ばに企業業績の低迷から普及が頭打ちとなった。2000年代の初めには、会計制度の変更の他、厚生年金基金の代行返上の開始や確定拠出年金制度の導入などの改正が行われ、企業年金の状況は様変わりした。足下では、2012年3月に迫った適格退職年金の廃止が注目されている。
複数の制度に重複加入するケースがあるため正確には分からないが、確定拠出年金などの普及が進んではいるものの、企業年金全体の普及状況(何らかの企業年金制度に加入している人の割合)は、1990年代より落ち込んでいる印象を受ける。公的年金の給付削減が避けられない中、各国で進められている公的年金と私的年金を合わせた総合的な老後所得政策が、日本にも必要ではなかろうか。

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保険研究部   上席研究員・年金総合リサーチセンター 公的年金調査室長 兼任

中嶋 邦夫 (なかしま くにお)

研究・専門分野
公的年金財政、年金制度全般、家計貯蓄行動

経歴
  • 【職歴】
     1995年 日本生命保険相互会社入社
     2001年 日本経済研究センター(委託研究生)
     2002年 ニッセイ基礎研究所(現在に至る)
    (2007年 東洋大学大学院経済学研究科博士後期課程修了)

    【社外委員等】
     ・厚生労働省 年金局 年金調査員 (2010~2011年度)
     ・参議院 厚生労働委員会調査室 客員調査員 (2011~2012年度)
     ・厚生労働省 ねんきん定期便・ねんきんネット・年金通帳等に関する検討会 委員 (2011年度)
     ・生命保険経営学会 編集委員 (2014年~)
     ・国家公務員共済組合連合会 資産運用委員会 委員 (2023年度~)

    【加入団体等】
     ・生活経済学会、日本財政学会、ほか
     ・博士(経済学)

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