2010年07月26日

幸福度指標開発に向けた期待

生活研究部 主任研究員   前田 展弘

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■目次

1--------幸福度ブームの再来
2--------日本の豊かさの現状
3--------幸福度指標開発に向けた着眼点

■introduction

昨年12月に発表された「新成長戦略(基本方針)」の中で、国民の「幸福度」を表す新たな指標開発を行うことが示された。それ以来、幸福度指標開発の是非を問う報道が相次ぎ、さらに6月の菅首相の就任会見の中で、「最小不幸社会をつくる」との発言もあり、幸福度に対する国民の関心は高まってきている。6月の「新成長戦略~『元気な日本』復活のシナリオ」では、具体指標が示されることはなかったが、今後新しい成長と幸福度に関する調査研究を推進し、幸福感の低い人の割合を減らす目標が打ち立てられている。
指標開発の主旨は、社会の発展を測定するものさしとして、国内総生産(GDP)の成長率や失業率、インフレ率といった従来の経済政策の目標として用いられた客観的な量的な指標だけではなく、経済成長の目標である国民の幸せや豊かさをより直接的に測ることを通じて社会的課題の解決を目指すところにある。
こうした動きは海外でも見られ、フランスのサルコジ政権が2008年に「幸福度測定に関する委員会」を発足させ、アメリカの連邦準備理事会(FBR)のバーナンキ議長は幸福に資する経済の発展を主張している。しかし、歴史的には決して新しい試みではない。1960年以降、OECD先進諸国は経済成長に反動する形で国民の豊かさを政策目標に反映していく取り組みが進められ、日本でも1971年の「社会指標-よりよい暮らしへのものさし」から、1992年の「新国民生活指標(PLI)=豊かさ指標」まで、国民の豊かさ・幸せを評価する指標開発が続けられた。しかしながら、様々な批判を受けるなかで1998年に当該指標は廃止に至った経緯にある(注1)。今回の指標開発の流れは、世界の今日的な潮流であるとともに、歴史の繰り返しという側面がある。

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生活研究部   主任研究員

前田 展弘 (まえだ のぶひろ)

研究・専門分野
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)、超高齢社会・市場、QOL(Quality of Life)、ライフデザイン

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