2010年07月26日

不動産クォータリー・レビュー 2010年第2四半期

  松村 徹

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■見出し

1. 経済動向と住宅市場
2. 地価動向と不動産景況感
3. 不動産サブセクターの動向
4. J-REITと不動産投資市場

■introduction

景気は持ち直しの動きが続く中、6月の日銀短観による大企業製造業の景況感は5期連続改善し、2年ぶりにプラスとなるなど、足元は底堅い動きが続いているが、所得・雇用環境の改善の遅れや株安・円高などから力強さに欠ける。ニッセイ基礎研究所は6月11日に、2010年度の実質GDP成長率3.0%、2011年度2.1%と穏やかな回復を予測1しており、このような景気動向の下、住宅着工やマンション供給も緩やかながら改善傾向が続くものと考えられる。
5月の新設住宅着工は、貸家と分譲マンションが減少して再び前年割れとなった(前年比▲4.6%、年換算73万戸)が、持家は7ヶ月連続で増加傾向にある。また、5月の首都圏のマンション供給は、4ヶ月連続で前年比増加したものの、”買いやすいマンション”とされる専有面積60㎡以上かつ3,500万円未満の物件供給は減少している。郊外でのマンション供給を支えていた中堅事業者の多くが破たんした結果、大手事業者による東京都区部での比較的高額な物件の供給が中心となっており、市場は広がりを欠いている。
一方、首都圏の中古マンション市場は、足元で取引件数に減速感がみられるものの、新築の供給減少や消費者の低価格志向の強まりなどから、郊外を中心に好調に推移しているといえる。財団法人不動産流通近代化センター(FRK)の推計によると、金融危機と世界同時不況を受けて2009年は新設住宅着工量が大きく落ち込み100万戸割れとなった一方で、中古マンションへの需要が増加した結果、2009年の中古流通量は、自己居住用の新築着工量とほぼ同水準だった。
景気循環が新設住宅着工や新築マンション供給に及ぼす影響は大きいが、大都市圏における世帯の高齢化や生活者の金融リテラシーの高まりなど需要構造も変化しつつあり、中古マンション市場や住宅改修市場、さらには賃貸マンション市場の動向にも注目していく必要がある。

松村 徹

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