2010年07月20日

中国GDP発表:景気は適度な減速、インフレ懸念は収束に向かう

三尾 幸吉郎

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■見出し

・今回の景気減速は想定範囲内の動き
・景気減速が続けばインフレ懸念は収束へ

■introduction

7月15日、中国国家統計局は2010年上半期の国内総生産(GDP)が17兆2840億元となり、実質で前年同期比11.1%増になったと発表した。この内、第2四半期(4-6月期)の伸び率は前年同期比10.3%増で、第1四半期の同11.9%増と比べると1.6%ポイントの低下となった(図表-1)。
2010年上半期の動向を需要別に見ると、投資動向を示す固定資産投資は、11兆4187億元で前年同期比25.0%増、消費動向を示す小売売上高は7兆2669億元で同18.2%増、輸出は7051億米ドルで同35.2%増となった。これを2010年第1四半期との対比で見ると、固定資産投資が同25.6%増から0.6%ポイント低下、小売売上高が同17.9%増から0.3%ポイント上昇、輸出が同28.7%増から6.5%ポイント上昇となった。また、第1四半期に2.2%だった消費者物価指数上昇率は、上半期には2.6%へと0.4%ポイント上昇幅を高めており、第2四半期の実質GDP成長率の減速は、物価上昇による実質減価と投資の減速が主因と見られる。
また、中国政府及び人民銀行が、景気過熱を抑えるために年初から預金準備率の引上げや不動産価格抑制策を相次いで実施してきたことを考えれば、今回の減速は政策当局が想定した範囲内の動きと見られ、政策効果の示現によるソフトランディングと言えるだろう。

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