2010年07月16日

公表迫るEUのストレステスト-米国との類似点と相違点-

経済研究部 上席研究員   伊藤 さゆり

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  1. 7月23日公表のEUのストレステストは、米国型の手法で行なわれ、対象行は2009年10月の第1回目の22行から91行に拡大、個別行の開示にも踏み込む。
  2. 米国と異なり、EUでは、財政主権と金融監督の責任が分散しているため、利用可能な公的資本注入プログラムは銀行国籍ごとに異なる。7月13日のEU財務相会合で「安全網」としての「欧州金融安定化メカニズム」の活用で合意したとされることは、財政悪化国の過小資本行の破たんや財政不安増幅懸念の緩和に資するものである。
  3. 「成功例」とされる米国のストレステストも、公表当初はマクロ・シナリオや損失率の想定への批判があった。EUの場合も、「ストレス・シナリオ」の想定、特に国債の担保価値の削減率についての想定が「甘すぎる」との批判は出そうだ。また、開示が「小出し」に留まれば、ギリシャ危機の進行過程と同じように、失望や憶測を生み、却って市場の緊張を高めるおそれもある。それでも、ギリシャ危機を境にEUの政策対応は、単一市場にふさわしい方向に変化し、ピッチも加速している点は積極的に評価できよう。
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経済研究部   上席研究員

伊藤 さゆり (いとう さゆり)

研究・専門分野
欧州経済

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