2010年07月07日

老後生活資金としての公的年金と私的年金-国際比較で見た高齢者世帯の実態

経済研究部 主任研究員   石川 達哉

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■目次

1――はじめに
2――マクロ的に見た年金給付と積立金の状況
3――世帯レベルで見た老後生活資金
4――日本の家計における老後生活資金としての私的年金の潮流

■introduction

すべての国民に対して老後の生活資金を確保することは、国を問わず最も重要な政策課題のひとつであろう。日本の公的年金制度は5年に1度行われる「財政検証」が2009年度に実施されたばかりであるが、6月29日に政府の「新年金制度に関する検討会」が公的年金の一元化を提言するなど、抜本的な制度改革への機運が高まっている。公的年金制度は完全積立方式で運営されない限り、引退した世代に対する給付は主として現役世代の負担によって支えられることになる。その仕組みが持続可能なものであるためには、給付も負担も適切な水準に設定されることが不可欠である。この機会に、老後生活資金のうち公的年金でカバーすべき割合や公的年金が最低限確保すべき金額を社会として問い直すことが重要であろう。
公的年金の適切な給付水準を社会として見極めることは、裏返して言えば、公的年金のみに拠るのではなく、企業年金・個人年金や預貯金など現役期に蓄積した金融資産の取り崩しで対応する部分をどれくらいの割合にすべきか、私的な準備に求める水準を社会として探ることでもある。そのためには、引退した高齢者世帯が現役世代と比べて十分な生活水準にあるのかどうか、老後生活資金のうち公的年金で賄われている割合がどれくらいなのか、私的年金や他の金融資産の取り崩しによって賄われている割合はどれくらいなのか、まず、現実を正しく認識することが必要である。
しかし、現実の高齢者世帯が私的年金や他の金融資産の取り崩しによって賄っている金額についての情報は、日本のみならず他の先進国においても、ほとんど提供されていない。当レポートの目的は、こうした情報を提供することにある。具体的には、各国の国民経済計算統計や収入と支出に関する世帯調査統計を組み替えたり、概念調整したりすることにより、老後生活資金としての公的年金と私的年金について国際比較を行い、日本の状況を客観的に評価する。また、日本の高齢者世帯の私的年金の受取額や現役世代の拠出額が過去からどのように推移してきたのか、潮流の変化について分析する。

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経済研究部   主任研究員

石川 達哉 (いしかわ たつや)

研究・専門分野
財政・税制、家計貯蓄・住宅

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