2010年06月25日

早い者勝ち?電子マネー市場

生活研究部 主任研究員   久我 尚子

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駅の自動改札にICカードをかざして通過する姿や、おサイフケータイという単語もめずしいものではなくなり、電子マネーの普及が進んでいる。
総務省の平成21年度通信利用動向調査によると、非接触型電子マネーの保有率は全国で29.6%にのぼる。これは、初めて同調査に電子マネーに関する問いが加わった平成18年度と比較すると、約3倍に増加している。また、主要電子マネーの決済件数の伸び率は、昨年12月より4ヶ月連続で最高値を更新し(日本経済新聞、2010年4月22日)、電子マネー保有率の更なる増加が予想される。
先の調査では、電子マネーを、ICカード型、ICカード乗車券一体型(以下、乗車券型)、携帯電話型に大別している。それぞれの保有率は、南関東と近畿では、ICカード型> 乗車券型> 携帯電話型の順に多く、サービス開始時期も同順である。その他の地域では、乗車券型より携帯電話型の保有率が高く、サービス開始時期も逆転している。よって、乗車券型の開始が遅い地域では、携帯電話型が先に普及した可能性がある。また、携帯電話型の保有率は南関東よりも北海道の方が若干高く、全国的な地域差も小さいことから、乗車券型が先行すると携帯電話型が普及しにくいことが示唆される。
電子マネー市場の競合状況を議論するには、個々のサービスの詳細を踏まえる必要があるが、まずは電子マネーを利用するための媒体としての視点に単純化すると、ICカード型のサービス開始を皮切りに、サービス開始時期が早いものからシェアを獲得しているようだ。しかし、利用拠点の相互乗り入れなどのサービス連携の活発化、経済産業省におけるインフラ共通化の検討などにより、市場構造は大きく変わる可能性もある。早い者勝ちの恩恵に甘んじずに、なお一層のサービス利便性や魅力の向上に努める必要があるだろう。

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生活研究部   主任研究員

久我 尚子 (くが なおこ)

研究・専門分野
消費者行動、心理統計、保険・金融マーケティング

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