2010年06月04日

金融市場の動き(6月)~郵政改革がもたらすものは?財政規律のゆるみか金融の歪みか

経済研究部 上席エコノミスト 上野 剛志

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  1. (財政赤字と郵政改革)国債残高が積みあがる中、郵政の国債消化機関としての位置付けが高まっている。今後も国債が増えるのは確実であり、郵政への政府の期待は続くだろう。限度額引き上げとなれば、思惑どおり国債市場の安定に繋がるかもしれないが、財政規律をゆるめ、金融システムを歪める懸念がある。
  2. (日銀金融政策)0.1%という超低金利長期化のシナリオは変わらず。日銀の出口開始はFRBの利上げ後。「成長基盤の強化」を目指す新しい融資制度の骨子を発表。これは国債買入増額への圧力をかわし時間を稼ぐ戦略とも言えそうだ。
  3. (長期金利)市場ではユーロ圏への懸念が高まるたびにリスク回避姿勢が強まり、円高株安→債券高の構図となっている。今後も先行き不透明感が払拭できず、当面安全資産としての国債需要は続くだろう。
  4. (為替)円ドルレートは、ユーロが売られる中で、円が消去法的に買われることで円高の流れになっている。今後欧州問題の米国株式市場へのさらなる波及や政策効果の剥落などが早期利上げ期待の修正に繋がれば、ドルが弱い状況になる。
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経済研究部   上席エコノミスト

上野 剛志 (うえの つよし)

研究・専門分野
金融・為替、日本経済

経歴
  • ・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
    ・ 2007年 日本経済研究センター派遣
    ・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
    ・ 2009年 ニッセイ基礎研究所

    ・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)

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