2010年05月07日

5月ECB政策理事会:市場安定化の追加措置見送りに市場は失望

経済研究部 常務理事 伊藤 さゆり

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■見出し

・ギリシャ支援合意後も続く市場の緊張、しかし追加的措置の決定はなし
・インフレ判断は幾らか上方修正も、当面はシステミック・リスクの抑制に力点を置かざるを得ない

■introduction

欧州中央銀行(ECB)は6日に政策理事会を開催、政策金利の据え置きを決めた。2日のギリシャ政府とユーロ参加国政府、国際通貨基金(IMF)との支援合意後も続く市場の緊張緩和のために期待された追加的な対策の決定が行なわれなかったことで、市場では失望が広がり、ユーロ安、株安が進んだ。
景気判断は従来の見方を踏襲、インフレについては、外的なリスクの判断を上方修正したが、域内のインフレ圧力が弱いため、「中期的なリスクはバランス、インフレ期待も安定」しており、金利水準は「適切」とした。
ギリシャ危機の伝播、金融不安の再燃の懸念は容易には解消しそうになく、ECBは当面、システミック・リスクの抑制に力点を置いた政策運営をせざるを得ないと思われる。

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経済研究部   常務理事

伊藤 さゆり (いとう さゆり)

研究・専門分野
欧州の政策、国際経済・金融

経歴
  • ・ 1987年 日本興業銀行入行
    ・ 2001年 ニッセイ基礎研究所入社
    ・ 2023年7月から現職

    ・ 2011~2012年度 二松学舎大学非常勤講師
    ・ 2011~2013年度 獨協大学非常勤講師
    ・ 2015年度~ 早稲田大学商学学術院非常勤講師
    ・ 2017年度~ 日本EU学会理事
    ・ 2017年度~ 日本経済団体連合会21世紀政策研究所研究委員
    ・ 2020~2022年度 日本国際フォーラム「米中覇権競争とインド太平洋地経学」、
               「欧州政策パネル」メンバー
    ・ 2022年度~ Discuss Japan編集委員
    ・ 2023年11月~ ジェトロ情報媒体に対する外部評価委員会委員
    ・ 2023年11月~ 経済産業省 産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会 委員

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