2010年04月27日

日本のホテル市場 統計的把握と需要の将来予測

竹内 一雅

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■見出し

1. ホテル稼働率の推移
2. ホテルの供給動向
3. ホテルの需要動向
5. 全国ホテル需要の将来予測
6. ホテル需要拡大の必要性
おわりに

■introduction

本稿では、様々な統計を利用して、日本のホテル市場(旅館を含む)1の動向の把握に努めるとともに、『宿泊旅行統計調査』と『旅行・観光消費動向調査統計』を基に、今後2年間のホテル需要の予測を試みた。
その結果、(1)リーマンショック後の2009年に、宿泊施設の延べ宿泊者数は、業務目的、観光目的ともに大きく減少したこと、(2)リーマンショック後には定員稼働率も大きく低下したが、業務目的が主の宿泊施設では、リーマンショック以前から稼働率の低下が始まっており、それはホテルの供給増加による影響と考えられることなどが明らかとなった。さらに、(3)2010~2011年の宿泊需要は、本稿で試みた簡単な推計結果によると、延べ宿泊者数は前年比で2010年に2.0%増、2011年に3.0%増と増加し、人口一人当たり宿泊費用は前年比で2010年度に9.8%増、2011年度に0.1%増と回復していくと予測された。
宿泊関連の統計はまだ整備がはじまったばかりであるが、これまで、ほとんど分析できなかった宿泊・旅行分野の需要実態を把握するために欠かせないものとなりつつある。これらの統計の整備は、事業者の経営計画策定に有用なばかりでなく、投資家にとっても、稼働率や利用客室数など日本のホテル市場全体の動向把握のために極めて重要である。
若者層の旅行回数の減少や人口の減少から、今後、長期的に日本人の旅行行動が減少する可能性が懸念される中で、これら宿泊・旅行関連統計は、市場の実態と動向を把握し、対応を検討するための不可欠な情報であり、これからも一層の充実を期待したい。

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(2010年04月27日「不動産投資レポート」)

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