2010年04月14日

景気先行指数のリアルタイム(Real-time)評価

  日本大学経済学部教授 小巻 泰之
経済研究部 チーフエコノミスト   矢嶋 康次

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1. 本論では,景気動向指数・先行指数(CLI)についてReal-timeデータセットを構築し,個々の構成指標の改訂や入れ替えの影響について明示的に取り扱う形で,予測力を検証する.

2. 鉱工業生産指数(IIP)の線形予測におけるCLIの評価を行い,予測力の比較ではDiebold and Mariano(1985)検定を利用し定量的に判断する.主なFact-findingを整理する以下の通りである.

1│CLIは限界的な予測力を有している.
2│Final予測よりReal-time予測の方が統計的に有意に優れている.Diebold and Rudebusch(1991)のアメリカのCLIの予測力とは異なった結果となった.
3│過去のCLIの構成指標の改訂において相対的に予測力が高いのは第5次改訂(1983年8月実施)である.改訂毎の予測力の結果についてみると,改訂を経る毎に予測力の低下が統計的に有意に認められる.

3. CLIの改訂を経る毎に予測力が低下するのは,改訂のたびにin-sampleの期間が長期化し,戦後の全ての景気基準日付と合致するような指標の選択及びその合成としてのCLIを作成することが困難であることを示していると考えられる.

4. CLIの指標の選択基準とされている「過去の景気基準日付とのタイミング」,つまり,長期的に過去の景気循環の変動と適合されるとの優先順位を落とすことにより,より直近の動きを反映する指標から構成されるCLIを用いれば,現行CLIに対する評価を向上させることが可能である.

  

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