2010年04月09日

上振れる景気と下振れる物価~先行きの消費者物価は上振れの可能性も

経済研究部 経済調査部長 斎藤 太郎

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  1. 景気が2009年春に底打ちしてからほぼ1年が経過した。この間、鉱工業生産を中心とした景気関連指標の多くは見通しよりも上振れて推移している。
  2. 直近(2009年10-12月期)の実質GDPの水準は1年前の見通しに比べると2%以上高く、輸出回復の恩恵をより強く受ける鉱工業生産の水準(2010年1-3月期)は1年前の見通しから20%以上上振れしている。
  3. 実績値の上振れが続く一方、景気の先行きについては引き続き慎重な見方が多く、先行きの成長率見通しは景気の見方が最も厳しかった1年前とあまり変わっていない。2009年度の実質GDP成長率の見通しが1年間で2%以上上方修正されたのは実績の上振れによるところが大きい。また、2010年度の見通しも上方修正されているが、その主因は2009年度(実績見込み)の上振れに伴い2009年度から2010年度へのゲタ(発射台)が上がったことである。
  4. 景気関連指標の多くが上振れする一方、消費者物価は実績、見通しともに下方修正が続いている。ただし、景気の上振れは予想を上回るペースで需給バランスが改善していることを意味すること、原油をはじめとした国際商品市況が想定を上回るペースで上昇していることなどから、消費者物価の見通しは今後上方修正される可能性がある。
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経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

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