2010年02月24日

約款の平明化について -これまでの経緯と今後の方向性-

小林 雅史

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明治後期における模範普通保険約款の制定後、約款の平明化は昭和初期から提唱され、それまでの文語体の約款を口語体の約款に改定する生保会社もあった。第二次大戦後も、生保会社は保険審議会答申、国民生活審議会答申等を受け、生命保険協会ベースでの平明化の検討に加え、各社でのさまざまな取組みが継続されてきている。

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このような約款の平明化に加え、約款の文字サイズや約款冊子の拡大、約款をわかりやすく解説したご契約のしおりの創設等、「読みやすい約款」を実現するための方策もとられ、近年では約款のCD・ROM化を実施している生保会社もある。

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一方、こうした約款文言の平明化、提供方式の拡大にとどまらず、近年、いわゆる「保険金不払い問題」の原因のひとつとして商品の複雑性が指摘されたことを受け、約款の平明化とともに、商品そのもののシンプル化も実施されており、合わせて、約款について、加入顧客に開示するだけではなく、広く一般消費者に自社ホームページを通じて開示する例もある。

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すなわち、約款の平明化については、(1)約款文言の平明化、(2)商品そのもののシンプル化、(3)提供方式、提供先等の拡大という、「顧客のわかりやすさの一層の推進」という観点から幅広く捉えることができ、2010年4月の改正保険法施行等の機会を通じて、生保会社各社のさまざまな創意工夫が期待される。
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(2010年02月24日「ニッセイ基礎研所報」)

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