- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経済 >
- 日本経済 >
- 鉱工業生産09年12月~堅調維持も先行きは減速の公算
■見出し
・3四半期連続の増産
・1-3月期も増産見込みだが勢いは鈍化の公算
■introduction
経済産業省が1月29日に公表した鉱工業指数によると、09年12月の鉱工業生産指数は前月比2.2%と10ヵ月連続で上昇したが、事前の市場予想(ロイター集計:前月比2.5%、当社予想は同2.8%)は若干下回った。出荷指数は前月比1.1%と10ヵ月連続の上昇、在庫指数は前月比0.0%の横ばいだった。
12月の生産を業種別に見ると、設備投資の下げ止まりを反映し、一般機械が前月比6.1%の高い伸びとなったほか、2ヵ月連続で低下していた電子部品・デバイスも前月比6.5%の高い伸びとなった。一方、生産の牽引役となっていた輸送機械は前月比▲2.9%と10ヵ月ぶりに低下した。速報段階で公表される16業種中、11業種が前月比で上昇、5業種が低下となった。
なお、鉱工業生産指数の09年3月からの12月までの累積の上昇率は29.4%となり、前回の景気後退局面における落ち込み幅(08年2月~09年2月)の半分を10ヵ月で取り戻す形となった。
10-12月期の生産は前期比4.6%と3四半期連続の上昇となった。7-9月期の前期比7.4%からは伸びが鈍化したものの、在庫調整の進展、好調な輸出を背景に引き続き高めの伸びとなった。業種別には、国内外で自動車買い換え促進策が実施されている効果から、国内販売、輸出ともに好調な輸送機械が前期比10.1%と3四半期連続で二桁の高い伸びとなったほか、回復が遅れていた一般機械は設備投資の下げ止まりを反映し、前期比16.1%と伸びが急加速した(7-9月期:同6.3%)。一方、在庫調整の進展から高い伸びが続いていた電子部品・デバイスは、前期比4.8%(7-9月期は同13.2%)と伸びが低下した。
在庫循環図を確認すると、08年10-12月期から09年7-9月期までは「在庫調整局面」に位置していたが、10-12月期は「意図せざる在庫減少局面」へと移行した。出荷の減少幅が7-9月期の前年比▲19.3%から同▲4.1%へと大きく縮小する一方、在庫の減少幅が7-9月期(末)の前年比▲12.1%から同▲14.6%へと拡大し、在庫の減少幅が出荷の減少幅を上回った。製造業の製品在庫に関しては、在庫調整局面は終了したと見てよいだろう。
財別の出荷動向を見ると、設備投資のうち機械投資の一致指標である資本財出荷(除く輸送機械)は7-9月期に前期比5.3%と8四半期ぶりの増加となった後、10-12月期は同11.4%と伸びが加速した。一方、設備投資のうち建設投資の一致指標である建設財出荷は7-9月期は前期比2.6%の増加となったが、10-12月期は同▲1.7%と再び減少に転じた。
消費財出荷指数は7-9月期の前期比7.4%の後、10-12月期は同4.6%となり、3四半期連続で増加した。非耐久消費財は前期比▲1.9%と弱めの動きとなったが、エコカー減税・補助金、エコポイント制度といった政策効果から耐久消費財が7-9月期の前期比15.1%の後、10-12月期も同10.5%と高い伸びを続けた。鉱工業指数に含まれない外食、旅行などのサービス消費は雇用・所得環境の悪化を背景に弱い動きとなっているが、自動車、テレビなどの耐久消費財の高い伸びがそれをカバーする形が続いている。
このレポートの関連カテゴリ
03-3512-1836
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
公式SNSアカウント
新着レポートを随時お届け!日々の情報収集にぜひご活用ください。
新着記事
-
2024年04月19日
しぶといドル高圧力、一体いつまで続くのか?~マーケット・カルテ5月号 -
2024年04月19日
年金将来見通しの経済前提は、内閣府3シナリオにゼロ成長を追加-2024年夏に公表される将来見通しへの影響 -
2024年04月19日
パワーカップル世帯の動向-2023年で40万世帯、10年で2倍へ増加、子育て世帯が6割 -
2024年04月19日
消費者物価(全国24年3月)-コアCPIは24年度半ばまで2%台後半の伸びが続く見通し -
2024年04月19日
ふるさと納税のデフォルト使途-ふるさと納税の使途は誰が選択しているのか?
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2024年04月02日
News Release
-
2024年02月19日
News Release
-
2023年07月03日
News Release
【鉱工業生産09年12月~堅調維持も先行きは減速の公算】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
鉱工業生産09年12月~堅調維持も先行きは減速の公算のレポート Topへ