2009年12月01日

「サラリーマン」は損をしているのか

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1985年に基礎年金制度が創設されて以降、国庫負担分を除く基礎年金の給付費は現役の1号、2号、3号被保険者が頭割りで負担してきた。ところが、制度の成熟化が進んでいる上、保険料免除や未納もあるため、国民年金の受給者1人あたりの現役加入者数は厚生年金より少ない。このため別々の制度であった場合に比べて、厚生年金加入者の保険料負担が大きくなる。しばしば基礎年金は、サラリーマンが損をする制度だと主張される理由である。
しかし、現在の国民年金の被保険者をみると、自営業は3割であり、4割は非正規社員などのサラリーマンである。今後、この傾向はさらに進み、国民年金は「厚生年金に入れないサラリーマン」の制度となっていくだろう。
厚生年金保険料の事業主負担を含めて、コストの高い2号被保険者を企業が雇っていられるのは、派遣やパート労働者など1号被保険者が低賃金と不安定な待遇で働いてくれているお陰という見方もある。しかも、失業率の高止まりや雇用の非正規化の進展をみると、厚生年金加入者本人やその家族がいつ国民年金の被保険者になってもおかしくない。このようにサラリーマンの間の格差とリスクに着目すると、厚生年金加入者が国民年金加入者を助けるのはやむを得ない、との考え方もありえよう。

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【「サラリーマン」は損をしているのか】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。

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