コラム
2009年11月18日

新型インフルエンザ・ワクチンはどこに!?

保険研究部 研究員   村松 容子

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各地で新型インフルエンザ・ワクチンの接種がはじまった。
   ワクチンの接種は、国が決めた優先順位に沿って行われている。東京都などいくつかの都道府県では、11月9日に「妊婦・基礎疾患を有する人」、11月16日に「1歳から就学前」の予約と接種が開始され、今後「小学校低学年に相当する年齢の者」等が予定されている。インフルエンザによって死者が出たニュースや地域学校の閉鎖などの情報が流れる中、接種希望者は予約開始日を待ち構えていたことだろう。
   接種を受けるためには、「妊婦・基礎疾患を有する人」は主治医の診断書を自治体に提出し、自治体から発行される証明書を持って好きな病院に行けばよい。
   一方、「1歳から就学前」以降の優先者は、自分で病院に予約をとる必要がある。ところが、同じ都道府県内でも、病院ごとにワクチン予約時期や方法、病院内での優先順位の基準が異なっており、各病院に問い合わせないとわからない。例えば、ある病院では、国の優先順位にさえ入っていれば、普段その病院に通っていなくても予約ができる一方、ある病院では、かかりつけの患者に限定して予約受付を行っている。また、ある病院では11月16日から予約が始まったばかりである一方で、ある病院では11月16日に既に接種が始まっている。予約当日に、受付開始後5分で予約がいっぱいになったにもかかわらず、それを知らない接種希望者からの電話が殺到し続けたという事例もあるようだ。

地域によって予約の混雑状況は異なるようだが、今回予約ができず、接種希望の意思表示すらできなかった「1歳から就学前」の幼児も多い。その上、11月17日の報道によれば、優先順位の低かった小学生の接種が前倒しされる見通しで、予約待ち状態の接種希望者が増加すると考えられる。厚生労働省はワクチンの数を考慮して、優先範囲を決めており、優先者はいずれ接種できることが、周知されている。しかし、今回予約ができなかった「1歳から就学前」の幼児と前倒しとなった小学生とが、今後の予約日に殺到するという混乱の連鎖が予想される。事務体制が見直されない限り、ワクチンを求める人が病院に電話を掛け続ける日々が続きかねない。
   現状では、各病院は、今後、いつワクチンが入荷できるかが不明であるため、入手できたワクチン数によって予約受付を開始・中断しているようである。しかし、たとえば、接種希望者があらかじめ予約を行い、予約に基づいてワクチンを各病院に出荷し、入荷数に応じて優先度の高い順に接種していけば、混乱と不安を少しは解消できるのではないだろうか。
   感染拡大や感染者の重篤化軽減のために、ぜひとも優先順位の高い人から迅速に接種できる体制を望みたい。

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保険研究部   研究員

村松 容子 (むらまつ ようこ)

研究・専門分野
共済計理人・コンサルティング業務、生保市場調査

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