2009年10月01日

9月調査短観~大企業・製造業の景況感は2期連続改善

総合政策研究部 常務理事 チーフエコノミスト・経済研究部 兼任 矢嶋 康次

経済研究部 上席エコノミスト 上野 剛志

文字サイズ

  1. 9月短観・大企業製造業・業況判断DIはマイナス33と前回6月調査(マイナス48)から15ポイント上昇、2期連続の改善となった。政策効果の下支えもあって、生産・輸出の持ち直しから、国内景気は最悪期を脱したことが裏付けられた。
  2. ただし、(1)業況判断の改善は前回同様、大企業製造業中心で非製造業、中小企業の反発力は弱いこと、(2)売上・利益の年度計画が小幅ながら下方修正されていること、(3)雇用、設備投資の過剰感はやや改善したが依然強く、ストック圧力から設備投資計画も下方修正されていることなど、回復に力強さは感じられない。
  3. また、大企業・製造業の想定為替レートは94.50円/ドルと、足元の90円割れの状況と乖離があり、現状の為替水準が続くと企業収益悪化を通じて景気が下振れする可能性があるなど、今後の景気回復には依然不安材料が多く、2番底に陥るリスクを抱えている。
  4. 日銀にとっては前回同様、最悪期から脱したとの判断に自信を強める結果となるが、先行きの景気に対して強気になる内容とはならない。当面、従来の政策の効果を見極めながら、先行きの下振れリスクを注視するというスタンスが続くだろう。
38407_ext_15_1.jpg
Xでシェアする Facebookでシェアする

総合政策研究部

矢嶋 康次 (やじま やすひで)

経済研究部

上野 剛志 (うえの つよし)

公式SNSアカウント

新着レポートを随時お届け!
日々の情報収集にぜひご活用ください。

週間アクセスランキング

レポート紹介

【9月調査短観~大企業・製造業の景況感は2期連続改善】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。

9月調査短観~大企業・製造業の景況感は2期連続改善のレポート Topへ